ハリウッドセレブが集ったナイトクラブ、ヴァイパールームとは
Tシャツは、単なるファッションアイテムだけでなく、自分の趣味や主義主張などを表現するコミュニケーションツールでもあります。今回は僕が、カルチャー的な背景からとても気に入っているTシャツをピックアップしました。現在もアメリカのハリウッドで営業しているヴァイパールームというナイトクラブのオリジナルアイテムです。もちろん、どこにでもあるような、ただのナイトクラブではありません。まずお伝えしたいのは、ヴァイパールームがオープンした1993年から2004年まで、あの超有名俳優 ジョニー・デップ(Johnny Depp)がオーナーのひとりだったということです。

Image by: FASHIONSNAP
ヴァイパールームでは、数多くの大物ミュージシャンがライブを行いました。オープニングアクトはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(Tom petty and the Heartbreakers)が飾り、その後イギー・ポップ(Iggy Pop)やジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)、ザ・ストロークス(The Strokes)、オアシス(OASIS)など、ここには書ききれないくらい錚々たる顔ぶれが出演します。当連載のカルチャーポスターの回で紹介したアレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg)が詩のイベントを開催したこともありました。そして、顧客としてアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)やドリュー・バリモア(Drew Barrymore)、キアヌ・リーブス(Keanu Reeves)、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)などのハリウッドセレブが集っていたという、我々一般人には想像もつかないスペシャルな場所だったのです。

ヴァイパールームには様々な逸話がありますが、なかでも特筆すべきは、伝説的な俳優 リバー・フェニックス(River Phoenix)の最期の場所になったことでしょう。リバー・フェニックスは、1986年に15歳で出演した映画「スタンド・バイ・ミー(Stand by Me)」で注目を浴び、1988年の「旅立ちの時(Running On Empty)」でアカデミー助演男優賞にノミネートされるなど、スターへの階段を駆け上がっていきますが、1993年にヴァイパールームの入口で倒れ、帰らぬ人となりました。
「タトゥー界のゴッドファーザー」がデザイン?
このTシャツのグラフィックにも、カルチャー的なストーリーがあるんです。上半身が女性、下半身が蛇という特徴的なイラストは、タトゥーアーティスト マーク・マホニー(Mark Mahoney)がデザインしました。ヴァイパールームのすぐ近くでタトゥーショップ「シャムロック・ソーシャル・クラブ(Shamrock Social Club)」を営むマーク・マホニーは「タトゥー界のゴッドファーザー」と称されており、2パック(2Pac)、ノトーリアス・BIG(Notorious BIG)、ブラッド・ピット(Brad Pitt)、デビッド・ベッカム(David Beckham)、レディー・ガガ(Lady Gaga)、リアーナ(Rihanna)、そしてジョニー・デップと、ヴァイパールームの顧客に負けず劣らずの世界的スターたちに、タトゥーを施してきました。

Image by: FASHIONSNAP

Image by: FASHIONSNAP
また、背面にプリントされた「?」のようなマークもマホニーのデザインで、ジョニー・デップたちが考えた「誰が来るか分からない」「何が起きるか分からない」というヴァイパールームのコンセプトがベースになっていると言われています。

Image by: FASHIONSNAP
ヴァイパールームのTシャツは現在も公式サイトで販売されていますが、こちらは1990年代につくられたもので、ボディは「ヘインズ(Hanes)」のビーフィーTです。ビーフィーTが誕生したのは1975年のこと。洗ってもよれにくく、透けにくいというタフなヘヴィウェイト生地が評判を呼び、Tシャツの代名詞的存在になりました。現行のビーフィーTももちろん良いのですが、僕らヴィンテージ好きはやはり古き良きアメリカ製に惹かれてしまいますね。

Image by: FASHIONSNAP
ヴァイパールームのTシャツは愛好家の間では知られた存在なので、ヴィンテージアイテムの相場はサイズやコンディションが良い個体ならば10万円以上になっています。もしかしたらあなたが好きなミュージシャンが下積み時代を送ったライブハウスや、好きな俳優が無名時代に出演した映画のTシャツなどが、この世に存在しているかもしれません。ぜひ、あなたならではのヴィンテージを探してみてください。
編集:山田耕史 語り:十倍直昭

