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※日経エンタテインメント! 2025年8月号の記事を再構成

“アジア版グラミー賞”を日本から――音楽業界の主要5団体がタッグを組み、2025年5月に京都で初開催された日本最大級の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」。授賞式のために来日した、世界の音楽シーンのキーパーソンが考える、MAJの意義、そして日本の音楽シーンの可能性とは? 音楽ストリーミングサービスの世界シェア1位で、国内では16年にサービスを始めたSpotify。MAJではユーザー投票機能を活用した部門賞を提供した。同社のグローバル・ヘッド・オブ・ミュージック・パートナーシップ&オーディエンスのジョー・ハドリー氏に話を聞いた。

Spotify グローバル・ヘッド・オブ・ミュージック・パートナーシップ&オーディエンス

Spotify グローバル・ヘッド・オブ・ミュージック・パートナーシップ&オーディエンス

ジョー・ハドリー
Spotify グローバル・ヘッド・オブ・ミュージック・パートナーシップ&オーディエンス

米大手エージェントのCreative Artists Agency(CAA)、にて、ビヨンセ、ジョルジャ・スミスといったヒップホップ、R&B系アーティストのツアーを担当。2022年にSpotifyに入社し、23年9月から現職

――MUSIC AWARDS JAPAN(以下、MAJ)がスタートした意義をどういう風にとらえていますか?

 「待ちに待った」というのが正直な気持ちです。アワードの魅力は、まず大勢のアーティスト、そして国内外の音楽業界関係者が、一堂に会すること。その場で様々な音楽を生で聴き、体験することは非常に大きな影響力があります。

 またアワードを開催する意義の2つ目には、世界への訴求があります。MAJはそのパフォーマンスを日本だけでなく、海外にも発信できます。日本の様々なアーティストのパフォーマンスが、世界の人たちの目に届く機会になる点も大きなポイントです。Spotifyとしても、世界各国から大勢のスタッフが日本に来るなど、アワードを応援しています。

――今回のMAJでは、Spotifyが携わる部門が創設されました。Spotifyユーザーの投票で決定する「ベスト・オブ・リスナーズチョイス:国内楽曲 powered by Spotify」と「ベスト・オブ・リスナーズチョイス:海外楽曲 powered by Spotify」。そして、「Top Global Hit From Japan」は、Spotifyの海外ユーザーによる投票でノミネート作品5曲が決まりました。

 今回、幾つかのカテゴリーで関わっていますが、それはあくまでも入り口。今後はさらに広げていきたいと思っています。どういう形になるかは、もちろん運営側との話し合いになるとは思うんですけれども、可能性は無限にあると考えています。

ミセスに感じるJ-POP的な懐かしさ

Mrs. GREEN APPLEは2025年の「MUSIC AWARDS JAPAN」において、「最優秀アーティスト賞」「カラオケ特別賞 カラオケ・オブ・ザ・イヤー:J-Pop powered by DAM & JOYSOUND」「最優秀ジャパニーズソングアーティスト賞」の3冠を獲得 (C)MUSIC AWARDS JAPAN

Mrs. GREEN APPLEは2025年の「MUSIC AWARDS JAPAN」において、「最優秀アーティスト賞」「カラオケ特別賞 カラオケ・オブ・ザ・イヤー:J-Pop powered by DAM & JOYSOUND」「最優秀ジャパニーズソングアーティスト賞」の3冠を獲得 (C)MUSIC AWARDS JAPAN

――日本の音楽シーン、そして日本の楽曲は現在、世界でどのようにとらえられていると分析していますか。

 まず、様々な趣味嗜好の人に訴える多様性が、日本の音楽にはあることが海外に伝わり始めています。J-POPはもちろんのこと、ボーカロイドやヒップホップなど様々なジャンルがある。

 もちろんアニメに関連する曲が強いという見方はあると思います。私自身も子供の頃にテレビでアニメを見たことが、日本のカルチャーや音楽を知る入り口でした。Mrs. GREEN APPLEの曲を聴くと、これぞ日本の音楽だという懐かしい感じがします。

 またYOASOBIは、頭から離れないぐらいに強く印象に刻まれましたね。歌詞が分からなくても、また聴きたいと思わせてくれる魅力があります。

 Spotifyでは、日本のクールなポップカルチャーや音楽を新たなコンセプトにした「Gacha Pop」という公式プレイリストを展開しており、このプレイリストのリスナーの8割以上は日本国外の方。日本の音楽を知るきっかけの1つになっていると思います。

 海外アーティストとのコラボレーションも有効ですよね。千葉雄喜は、アメリカ出身のミーガン・ザ・スタリオンとコラボレーションした『Mamushi』が、グローバルで展開するプレイリスト「トゥデイズ・トップヒッツ」に入りました。Spotifyでの千葉雄喜の月間リスナーは、コラボ前は25万人ぐらいでしたが、今は350万人を超えています。

――「Gacha Pop」のリスナーの8割以上が海外ユーザーとのことですが、日本の音楽全体としては、海外でどのくらいの割合で聴かれていますか。

 日本の音楽は、すでに世界の多くの方々に届いています。MAJの準備をするなかで様々な数字を確認したところ、まず24年度に日本人アーティストがSpotify上で得たロイヤルティーの約50%が、国外リスナーの視聴によって生まれたものなんです。

 さらに深掘りをすると、日本人アーティストたちが得た全ロイヤルティーの約75%の楽曲が日本語で歌われている。ということは、世界に発信していくためには、必ずしも英語で歌うことが必要ではなく、日本語でも聴きたいと思う海外のオーディエンスがたくさんいることの証明だと思います。我々としてもこういった数字を見て非常にワクワクしています。

――千葉さんの月間リスナーが350万人と聞くと、やはり日本人アーティストが海外に進出する際に配信サービスは重要な場所となっていると実感します。Spotifyとしては、どんな形でアーティストをサポートしていますか。

 アーティストの皆様を手助けするためのツールを多数用意しています。例えば、「Clips」はアーティストページに、30秒未満の動画コンテンツを上げることができる機能です。楽曲のミュージックビデオでも、メイキングなどいわゆるビハインド ザ シーンズでもいい。ユーザーに訴えたいコンテンツを上げられます。

 昨年からスタートした「カウントダウンページ」は、一言で言えば、ニューアルバムの発売日を事前に告知するもの。配信では、リリース初週に多く聴かれると世界に広がる可能性も高まりますが、カウントダウンページ機能を利用すると、リリース初週により数多く視聴されるというデータが出ています。

 また、アーティストやレーベルのチームが使用できる様々なツールも用意しています。「この国で、この楽曲が聴かれている」といったデータを見ることができるので、例えば、その国でキャンペーンやライブを開催したり、その国のアーティストとコラボレーションをしたりといった施策を練るきっかけになります。ストリーミングデータの分析は、海外進出においてとても有効だと思います。

――日本の音楽シーンにどのような期待を持ちますか。

 先ほど、国内アーティストの生み出すロイヤルティーの約75%の楽曲が日本語で歌われているとお伝えしましたが、日本の楽曲の配信が進むにつれ、その数字はもっと増えていくのではないかなと思います。

 Spotifyとしても、今後も積極的に日本の音楽を世界に発信していきたいですし、海外の音楽も日本にもっと紹介していきたい。そうすることで日本と海外のアーティストのコラボレーションが生まれ、さらに日本の音楽やアーティストの認知が世界に広がっていくのではないかと考えています。

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