39歳・小池徹平、アイドル視され「モヤモヤ」した20代…「力が抜けた」30代「私生活は100%子どもに時間」 | ENCOUNT - Moe Zine

 俳優の小池徹平が、8月から9月にかけて、東京、大阪ほか3都市で上演されるミュージカル『ある男』で浦井健治とダブル主演を務める。原作は作家・平野啓一郎氏による同名小説で、昔の依頼者から亡くなった夫(小池)の身元調査を相談された弁護士(浦井)が、その正体を追うヒューマンミステリーだ。読売文学賞を受賞、映画化もされた名作で、今回は初のミュージカル化。この機にENCOUNTは小池に、ゼロから立ち上げて同作で世界初演を目指す思い、家庭や育児などプライベートに迫った。(取材・文=Miki D’Angelo Yamashita)

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 同作では、“ある男”を追い求める男・城戸章良を浦井が、死んだはずの男・“X”を小池が演じる。オファーを受けたのは2年前。小池はまずは原作を読み、映画を見た。第一印象は「えっ、これミュージカルでやるの?」だった。だが、その着眼点に面白さを感じ、「斬新な舞台になるだろう」と確信したという。

「資料や台本など何もない状態で『ある男』のオファーをいただいたのですが、この小説をミュージカル化したいというスタッフの熱量を今でもよく覚えています。制作は『デスノート THE MUSICAL』を大成功させたチーム。衝撃作を生み出したいというエネルギーがビリビリ伝わってきました」

 人気漫画をミュージカル化した『デスノート THE MUSICAL』は2015年の初演以来、世界で評価され続けている。新作で再び世界を目指すスタッフの意気込みに感銘を受けていた。

「平野啓一郎さんは、製作発表のとき、『期待しています』と励ましてくださり、ポジティブに見守ってくださっている。キャストもミュージカル界をけん引する豪華メンバーがそろっていますので、原作のファンの方の期待にも全力で応えるしかないです。健ちゃん(浦井)とは8年ぶり。共通の知人からたまに健ちゃん情報をアップデートしてもらっていたので、久しぶりという感じではなく距離感は近い。『デスノート THE MUSICAL』と歌の掛け合いなど構図が似ているからこそ、今回は斬新な解釈に挑戦したいですね」

 濱田めぐみはじめ、『デスノート THE MUSICAL』で共演したキャストの名前も多数並ぶ。

「共演した仲間たちがたくさんいるので同窓会のような気分です。作品のイメージとして、心がすごく重くなるので、メンバーに救われるところが多々あることでしょう。信頼できるからこそ、芝居に没頭できてチャレンジできる。目をつぶっていても飛び込めるような感覚があります」

 楽曲はブロードウェーで活動するジェイソン・ハウランド。現実から逃げ出して、新しい人生を歩み、自分はどういう人間かを歌で問いかける。

「心の中の叫びがメロディーや変調によって表現され、キャラクターの心情が耳から入ってくる、ジェイソンさんならではの聴く人に直接響き、感動のスイッチを入れてくれる音楽が全編に流れます」

 クリエーター陣の間では昨年12月頃からワークショップを行い、入念に準備を重ねてきた。普通の役作りだけではできないような深いテーマである。複雑な人物像に対してどのようにアプローチするのか。

「想像もつかないぐらい大きな傷を負って、戸籍を変えてまで別の人物として生きる道を選ぶ役どころが『X』。この役に歩み寄るにあたり、彼が亡くなる前、谷口大祐として生きた幸せな家庭生活において、血がつながっていなくても慕ってくれる息子、新しく生まれた娘の花という愛する子供だち。私生活での父親としての感情が一番リンクしている。そこから『X』に入っていこうと模索しています」

 オリジナルを作り上げるにあたり、今の自分が表現できるものは何か。小池は「それを見つめ直す機会」とも言った。現在は映像作、舞台作の双方で存在感を見せる小池だが、20代の時は葛藤があったという。

「20代は、アイドルや歌手という見え方に対してモヤモヤを抱えていました。アイドル的な活動がいつまで続けられるのか、不安や焦りもありました。俳優としての実力が伴っていないし、気づいたら将来の目標が見えなくなっていたんです」

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