この勝利を手に、胸を張ってTIF2025の大舞台へと乗り出せることだろう。

 7月18日、ヒューリックホール東京にてお笑いとアイドルライブを融合した異色のアイドルイベント『アイドル天下一大喜利武道会〜Round2〜』が開催。4組のアイドルグループが本気の大喜利バトルで熱き闘いを繰り広げ、ライブパートではファンを熱狂させた。

 本イベントは佐久間宣行氏がプロデュースする8人組アイドルグループの「ラフ×ラフ」がホスト役となり、アイドルたちが“笑いの天下”を懸けて対戦形式での大喜利に挑むという斬新なスタイルで開催。2月17日の第1回ではラフ×ラフがまさかの3位に沈み、メンバーがガチの悔し涙を流す姿が話題になったものだ。

アイドル天下一大喜利武道会〜Round2〜

 今回のRound2に参加したのは主催のラフ×ラフに加え、YouTubeチャンネルでの予選会を勝ち抜いた「ideal peco」と「わーすた」、そして初代王者・ドラマチックレコードの新居歩美を中心とした新居軍団(新居・山本みゆ・塩崎なづな from こみっきゅおん!)の4組。

 果たして王者・新居の連覇なるか、それともラフ×ラフがリベンジを果たすのか。もしくは新星の登場なるかと、満員の会場を埋め尽くしたファンはもちろん、審査員を務める佐久間氏、東京ホテイソン・ショーゴ。赤嶺総理、放送作家の上田源嗣らも、興味津々だったに違いないだろう。

ラフ×ラフ

 各グループとも気合いが入るなか、ラフ×ラフの吉村萌南は「負けたら徹夜で大喜利合宿をします!」と宣言。同じく齋藤有紗はあまりの不安から本番前に泣きすぎてしまい、サングラスにマスク姿で会場まで来たという。

ideal peco

 それに対し、初代王者にして“アイドル界のお笑いモンスター”の異名をとる新居歩美は、「あの日の令和ロマンになりに来ました」と冒頭からエンジン全開で、二連覇への意気込みを見せる。

 笑いと緊張が交錯するなか、アイドルたちの“笑いの天下”を懸けた真剣勝負が、いよいよ幕を開けた。

わーすた

 イベントのオープニングは各グループによるライブパフォーマンス。ideal pecoが『LOVEちゅーにんぐ』、わーすたが『Sweet Fancy Chu-n』で会場を華やかな色に染めるなか、ラフ×ラフは名刺代わりの大喜利曲『考える時間をください』をドロップ。曲中の大喜利パートでは「みんなの知らないアイドルの常識とは?」というお題に対し、リーダーの齋藤が「アイドルの発言って基本的に全部PRなんです」と回答し、観客の笑いとどよめきを呼んでいた。

新居軍団。左より塩崎なづな(こみっきゅおん!)、山本みゆ、新居歩美

 ライブ後はいよいよ、本イベントの本編となる全3回戦の大喜利対決に突入! 本稿では各対決からユニークだった回答をピックアップして紹介したい。

【大喜利対決】

◆1回戦「きのこたけのこ寝返らせ大喜利 Sponsored by Meiji」

 菓子メーカーの明治がスポンサーとしてお題を提供するという異色の大喜利は、各自が“きのこ派”か“たけのこ派”かを宣言し、相手を自分の派閥に寝返らせるような一言を披露するというもの。

 わーすた・小玉梨々華はスケッチブックを使って「たけのこ派になったら、今年の所得税払ってあげるよ〜」と大胆提案。個人事業主でもあるアイドルの口から税金という生々しい話題が出るギャップに、観客も笑いと感心の両方で反応だ。

 新居軍団の新居歩美は「たけのこの里派には”里”、つまり帰る場所がありますからね〜」とセミナー風の口調で語ってみせ、技術の高さを見せつける。ネタそのものはもちろん、導入部の動きや話術もまた、採点の対象となることを見せつけた。

1回戦

◆2回戦 ペア大喜利「相方の回答褒め倒し大喜利」

 2人ペアで臨み、一人がボケ、もう一人がその回答を過剰に褒めるというコンビ芸の大喜利。

 新居軍団の山本&塩崎ペアは「監督がサンダードラゴンに乗ってきた」に対し、「長いカタカナ使ってて、かしこー!」と、ツボを突く褒めで沸かせる。ちなみに山本が知っている最も長いカタカナは「パン」だとか。どうやら「アイドル」も知らないようだ。

 ラフ×ラフの齋藤&吉村ペアは「豹柄ミニパンパース」に対し、吉村が「アイドルがトイレ行かないって、そういうことか〜」と大納得の表情で返答。これには佐久間氏も「コンビ大喜利じゃん!」と大笑いだった。

2回戦 ペア大喜利

◆3回戦「アンコールで出てきたときの『心の声』勝手に言っちゃう大喜利」

 これは別のアイドル(自軍でも他軍でも可)を指名し、そのアイドルが観客のアンコールに応えて登場する際の“心の声”を、アフレコで表現するという大喜利だ。

 ideal pecoの夏目綾は、同じ苗字を持つラフ×ラフの夏目涼風を指名し、「帰りの電車、満員ギチギチで大変だと思うけど気をつけて帰ってね。私は事務所の車で帰りま〜す」と絶妙な抑揚で回答。これには佐久間氏も「言い方がうまい」と絶賛だ。

 指名された側のラフ×ラフ夏目も、アイペコ夏目のセリフを仕草で再現。相手に塩を送ることになりかねない行為も、お笑いという枠組みの中では真っ向勝負の姿として評価されたことだろう。

3回戦

◆延長戦

 3回戦までが終了するも、まだ時間が残っているとのことで急遽、佐久間氏の提案により“審査員&司会者”をネタの対象にした延長戦が勃発だ。 

 ラフ×ラフの日比野芽奈は、MCを務めた東京ホテイソン・たけるを指名。ステージ袖から登場するたけるに「や〜だ、たた、まだ手ぇ〜繋いでたい」と、たけるが彼女から呼ばれている“たた”という名前でイジるという高度な技を披露だ。

 これには相方のショーゴも「彼女と手を繋いで会場入りしていた」との裏話を披露し、観客も爆笑。公式おにいちゃんとしてラフ×ラフに加勢する形か。

 わーすた・三品瑠香は、大喜利中に思わず甘噛み。MCたけるから「噛みましたよね?」とツッコまれると、すかさず「可愛いじゃないですか♡」と自らフォロー。三品ワールド全開の切り返しに、会場は大爆笑に包まれた。

 そのわーすたは、途中から大喜利の回答が空回りしはじめ、途中経過のポイントもダントツの最下位に。すると方針を「爪痕を残して業界関係者にアピール」へと大胆に変更。三品は大喜利と関係ないところでしゃべりまくり、MCや審査員にも「友達の会話か!」「平場がおもしろい」と大ウケだ。

 さらには、ステージ上での態度について「休憩中にスーパーの裏でたばこを吸っているアルバイト」と指摘されると、「タイミーです」とアイドル稼業をアルバイトにたとえるなどやりたい放題。大喜利で結果を残せなくても爪痕は残せるという、本イベントの特色を見事に体現してみせていた。

延長戦では佐久間宣行氏が大喜利ネタに参加する場面も Photo: Issey Nakanishi

【結果発表】

 接戦を制し、優勝を勝ち取ったのは主催のラフ×ラフ。エンディングライブのトリを飾る権利と、佐久間氏が用意した“高級フルーツ3万2400円分”という優勝賞品をゲットだ。

 前回3位からのリベンジを果たす形となり、発表の瞬間にはメンバー全員が「ギャーッ!」と絶叫し、その場に倒れこんではガチ涙を流すほどに感激していた。齋藤が「生きてて良かった」とコメントすれば、高梨結は佐久間氏から突っ込みを入れられるほどに号泣。お笑いを得意とするアイドルグループのプライドを死守した瞬間だった。

優勝者が発表され、喜びのあまり崩れ落ちるラフ×ラフ

 2位には新居軍団が食い込み、序盤に“松井稼頭央”などの野球大喜利で大きなリードをつけたideal pecoはまさかの3位に。2回戦のペア大喜利にて、赤×青のジャージという設定で繰り出した「テツandトモ」という回答がダダ滑りしてしまい、一気に順位を落とす結果となってしまった。

 最下位は安定のわーすた。ライブでは大喜利で見せた失態を見事に払しょくする可愛らしさでファンを笑顔にしつつ、ライブ終了直後には罰ゲームである「ビリビリペンの刑」が執行。全員がギャーッと叫びながらその場に倒れこむなど、イベントは笑顔と悲鳴のなかでフィナーレを迎えた。

ビリビリペンの洗礼を受けるわーすた

◆最終結果
優勝 ラフ×ラフ 213点
2位 新居軍団 211点
3位 ideal peco 207点
4位 わーすた 178点

 チケットも完売し、満員の会場で開催された本イベント。大喜利というステージに真剣に挑み、アイドルの新たな可能性を見せつけてくれた。

 単なるバラエティではなく、お笑いへのリスペクトと愛に満ちたイベントは「アイドル×お笑い」ジャンルへの注目を加速させ、8月3日には「TIF2025」のステージでも開催されるなど、可能性をますます拡大中。第三弾の開催にも期待せずにはいられないことだろう。

会場のヒューリックホール東京はチケット完売の観客で埋まった

【エンディングライブ セットリスト】
◆ideal peco
01. LOVEちゅーにんぐ
02. 100点の私で会いに行こう
03. パーティーは終わらないッ!!

◆わーすた
01. わーるどすたんだーど
02. 最上級ぱらどっくす
03. 清濁あわせていただくにゃー

◆ラフ×ラフ
01. 夏の覚悟を今決めろ!
02. クライアント
03. 君ときゅんと♡

※新居軍団は即席トリオのため歌唱披露はなし

(取材:漆間虹美/画像:オフィシャル提供 ※特記除く)

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