アイドルのみならずアーティスト憧れの地として知られる「日本武道館」。
1964年に建設されたこの施設は1966年にビートルズがコンサートを行って以来、その会場規模、使用基準の高さゆえにあらゆるアーティテストにとってひとつのステイタスとなりました。ロックバンド「爆風スランプ」のヒット曲「大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い」が武道館をイメージした楽曲であることも有名です。
【画像】さくらみこプロデュース!「ホロレジ0期生」の伝説が眩しかった
ホロライブでも2025年2月に星街すいせいさんが武道館でライブを実施し話題になったのも記憶に新しいところ。その武道館で、なんとホロライブ0期生「さくらみこ」さんが初プロデュースしたアイドルグループ「ホロレジ0期生」が待望のライブを実施。拍手喝采の中で公演を終えました。本稿ではその公演のようすをお届けするとともに、デビュー約9時間の軌跡を追いたいと思います。
※本稿は、2025年6月にニンテンドースイッチ2専用ソフトとしてリリースされたコナミデジタルエンタテインメントの「アイドル×経営シミュレーション」ゲーム『シャインポスト Be Your アイドル!』をもとに、6月23日にさくらみこさんが実施した同ゲームの実況配信を記事化しています。そのため「架空の武道館ライブを、さも実際に公演したかのようにレポートする」という見立て記事になっています。
◆最年少メンバーはなんと10歳!
2025年6月23日の早朝5時。日本武道館で実施された「ホロレジ0期生 The dream live in武道館」では、以下の全5曲のセットリストで満員の会場を熱狂させました。
1.0 to Infinity(全員)
2.Innocenyt Sky(全員)
3.Snow Leaves(全員)
4.あの日の夢を(広瀬 実唯菜、兎塚七海)
5.キラキラキュン(黒金 蓮、琴森愛莉)
1曲目の「0 to Infinity」は0期生のテーマソング、3曲目の「Snow Leaves」と4曲目の「あの日の夢を」はこの日初披露した新曲、5曲目の「キラキラキュン」はホロレジスタンス・グループを代表する楽曲として親しまれており、この5曲の構成はアイドル事務所「ホロレジスタンス(以下、ホロレジ)」の代表取締役・マネージャーのさくらみこさんが胸を張る「最強のセットリスト」となっていました。
オープニングアクトを飾った「0 to Infinity」のイントロが流れると、会場の大歓声に混じって早くも「うわー! いいぞー! がんばれー!」と声援を送るみこさん。歌詞には「いつかキミと夢叶えるその日まで虹を描こう、真新しいこの場所で」とあり、メンバーの武道館に対する想いがクロスします。
思い起こせばデビューから武道館ライブまでの約9時間、数々の苦難をともに乗り越えて来ました。楽しそうに身体を揺らしながら何気なく発せられる「よくがんばったよ」の言葉にも想いが滲みます。まさにオープニングを飾るにはこれ以上ない選曲であり、この瞬間のために作られたような楽曲でした。
もともと「ホロレジ」というユニット名には、「ホロライブのライバルたる存在に成長し、ともに切磋琢磨できるように」というみこさんの熱い想いが込められています。会社を立ち上げて真っ先に作ったグループが、みこさんと同じ“0期生”であることからも、そのこだわりが伝わってくるのではないでしょうか。
メンバー5名のオーディションのポイントは、後々「これ大事だから」と何度も語られることになる「メンタルの強さ」と「我の強さ」。それはアンチに負けない根性の持ち主であるとともに、どんなに辛くても夢を叶えるために頑張ること、自分をブレさせないといった、みこさんの経験から来る絶対条件です。
そうして集められたのが以下の5名でした。
・クール担当を自称する16歳「黒金 蓮(くろがね れん)」
・可愛い女の子が好きでボディタッチしがちな17歳「兎塚七海(とつか ななみ)」
・アイドルになるべくして生まれた14歳「聖舞理王(せいぶ りお)」
・カワイイものが大好きという15歳の「琴森愛莉(こともり あいり)」
・10歳という最年少で応募してきた“みぃちゃん”こと「広瀬 実唯菜(ひろせ みいな)」
とくに若干10歳の実唯菜さんについては「10歳は禁じ手」としつつ、ホロライブと肩を並べる存在になるには必要な人材として悩みに悩んだ末に採用した人材です。ホロライブのファンにも受けるだろう容姿もひとつの大きなポイントでした。
メンバーが集まったらいよいよ育成・経営のスタート。夢の地・日本武道館でライブをするには、会社経営で会社を大きくしつつ、アイドルたちをクラス5までクラスアップさせる必要があります。その期限は1つのグループにつき3年。3グループを育てることになるので、実質的には5年がひとつの区切りとなります。ライブ活動も会社の規模に見合った形でまずは小さな会場から。そこからステップアップを重ね、最終的に夢の武道館を目指すというわけです。
「ホロレジ0期生」のデビューの地はタワーレコード新宿店。体力不足で「ボーダーライト」1曲しかできず、売り上げも約35万円の赤字という残念な結果ではありましたが、それでもこのデビューライブをきっかけにそれぞれアイドルとしての自覚が生まれ、プロとしてさらなるステップアップをします。その後、2度の代アニLIVEステーションでのライブ、年が明けて新人5名「ホロレジ1期生」の加入を経て、Bright Stationでのライブにて武道館ライブのオープニングを飾った「0 to Infinity」を初披露しました。
この頃にはライブも黒字化を果たしており、会場もBright Stationというこれまでよりもやや大きな会場での実施に。0期生のテーマソングとして発注された「0 to Infinity」はこの日のために温存されていた新曲であり、みこさんは「お前たちの曲や!」と叫びながらようやくお披露目したのでした。
◆代表曲にまで育った「キラキラキュン」
2曲目に披露された「Innocenyt Sky」は、ゆったりとした曲調ながら各メンバーの名前がコールされる楽曲です。日比谷野外音楽堂のライブで初披露された際はオープニングアクトだったこともあり、「どう考えてもラストの曲っぽい」と苦い思い出になりましたが、今回は「0 to Infinity」からのメンバーコール曲としてこれ以上ないセットリストになっていました。
思えばここまで、すべてが手探りでした。
デビュー当時、クール担当で行こうと鼻息を荒くする蓮さんに対し、みこさんは「いつもクールじゃなくても、ステージに立った時にクールだったらいいよ。それ以外はボロが出てもいいから。それが魅力になるからね」と肩の力を抜くよう助言。その後、みこさんの心配が的中してクールキャラで悩むようになると「キャラの設定に囚われてしまって自分を見失うとか、自分らしさを見失うパターンや。すべて失うぞお前」と諭し、蓮が覚醒するのを手助けしました。武道館ライブではクールキャラから解放され、キラキラと“かわいい路線”で光を放つ彼女を見ると、やはりみこさん抜きでこのグループは成り立たなかったなと思い知らされます。
また「プロのアイドルとしてキラキラしているお姉さんたちのようになりたい」と意気込む最年少の実唯菜さんに対しては、「そう思うのはキラキラしてる部分しか見えてないからだよ。裏では大変すぎてゲロ吐いてるかもしれないじゃん(笑)」と心が壊れないようケアをしていました。
みこさんは普段「ポン(ポンコツ)」と呼ばれていますが、裏ではホロライブメンバーを支える長女らしい面も見せているとか。しかも現役アイドルですから、ホロレジ・メンバーに接すると先輩らしい温かなアドバイスが自然と出てきて“みこさんらしさ”を感じさせます。公園でダンスレッスンをしていた極貧時代から、武道館ライブができるようになる現在の規模になるまで、たった9時間ではあるもののその“歴史”はひと言では表せない様々なドラマがありました。
さて武道館ライブに話を戻すと、次は3曲目となる「Snow Leaves」。続いて実唯菜さんと七海さんがコンビ歌う4曲目「あの日の夢を」です。2曲とも武道館ライブのために作られた新曲であり初披露曲となります。
「Snow Leaves」は壮大な冬歌。ダンサブルに奏でられる旋律は感動的であり、ペンライトを振る客席も開幕から激しくコールを飛ばします。一方、「あの日の夢を」は夢を胸に抱いて歩んだ日々を綴る歌詞が印象的で、ミュージカルを思わせる振り付けに目が奪われる楽曲です。
実はこの2曲、武道館ライブの当日に発注された、ホロレジ名物「当日発注ソング」です。みこさんはライブ当日に楽曲を発注してセットリストを調整する悪い癖があり、約半年前に武道館ライブをメンバーに発表した際にも、「オレはけっこうやっちゃってる。当日発注、当日納品、当日振り付け、当日歌入れ。ごめん! でもついてきてくれてありがとう!(笑)」と頭を下げていました。それが今回はまさかの2曲。どちらもぶっつけ本番です。不安しかありません。
結果的にミスが目立ったものの、それでも会場と一体になり1曲目と2曲目の熱を維持したまま駆け抜けることができたのは“さすが”のひと言。なおガチのアイドル現場なら、ファンは対バン(合同ライブのようなもの)で初見の楽曲対応にも慣れているため、その場のノリと曲調でなんとなく盛り上げることが可能です。凄いですね。
ライブのラストを飾ったのは蓮と愛莉による「キラキラキュン」。NHKの児童向け番組で流れそうなコミカルな曲調と振り付けながら「ホロレジ」の定番曲となっており、みこさんが「武道館で絶対やりたい曲」として挙げていたものです。
そもそもこの楽曲は後輩である「ホロレジ1期生」のデビューライブで初披露されたものであり、バンド出身のメンバー「篁 響季(たかむら ひびき)」さんが確かな歌唱力と見事なビブラートでお披露目したものでした。その時のミスマッチ感はみこさんの腹筋を崩壊させるほどのインパクトを放ち、思っていたのとは違う方向でバズる形に。
「この曲でビブラート入れんなよ!?」「その振り付けいや!(笑)」と阿鼻叫喚の状況にツッコミが追い付きません。さらに「ごめん!」「幼い子たち向きの曲だった」「これこの2人の黒歴史だろ!」と平謝りするほどの大事故を起こしています。
それでもその後は誰に歌わせるか慎重に検討することで「なんだったんだ、さっきの悪夢みたいなライブは」と疑いたくなるほど馴染むことに。勉強中の姿をイメージしたユニークな振り付けや、「サッサカサカサカッサー」という奇妙な歌詞はやはり主張強めではあるものの、噛めば噛むほど味が出るスルメのような楽曲でもあり、自然と身体が求める、中毒性ある不思議な楽曲としてホロレジの定番曲となりました。
特徴的な振り付けはファンのフリコピを誘うユニークなものですし、実際にライブで披露したらフロア全体が「サッサカサカサカッサー」になるだろう無限のポテンシャルを秘めた一曲です。それをかつてクールキャラで悩んだ蓮が武道館で披露した意味は大きく、かわいくパフォーマンスする姿には確かな成長が見られ、みこさんでなくとも心にグッとくる一曲となっていました。
こうして武道館ライブは大成功のうちに閉演。資金難に見舞われ、予算が足りないまま武道館ライブを決行したホロレジ運営はどうにか会社を畳むことなく1期生と2期生にバトンを回すことができたのでした。
「ライブをする時は『多くの35p(みこさんのファン)が収容できる規模の会場ならどこでもOK!』くらいに思っていたけど、いつかみこちゃんも武道館を目指そうかな」と武道館ライブについて想いを語っていたみこさん。初プロデュースのアイドルたちを見守るうちに得たもの、感じたものも多かったのではないでしょうか。
デビューから武道館ライブまで、時に折れそうになるメンバーを支えつつ会社経営でも手腕を披露した日々。そこには現役アイドルらしい視点も感じられ、みこさんならではのゲームプレイが際立つ実況配信となっていました。とくにホロライブでも使用した幕張イベントホールが公演可能な会場に追加された際には「うちらクラス5なの!?」と驚く“ならでは”のリアクションも。ゲーム開始当初の事務所についても「初期のホロライブもこんな感じだった」と目を細める場面がありとても興味深いものになりました。
ゲーム配信はその後も1期生と2期生の育成に励み、約12時間の長編ながら1回の配信でエンディングまで見事到達。とある期生のライブでは思わぬ奇跡が起こりましたから、ぜひこの続きもアーカイブでお楽しみください。そして良ければ次はあなたの手で、あなただけのアイドルグループを結成し、あなただけのアイドル・ヒストリーを紡いでみてはいかがでしょうか。
インサイド 気賀沢昌志