男性化粧品市場の勢力図はどうなっているのか。近年、売り上げが急増したのが、広告モデルに大谷翔平選手を起用した「コスメデコルテ」ブランドだ。作家・高殿円さんの著書『父と息子のスキンケア』(ハヤカワ新書)より、一部を紹介する――。(第2回/全2回)
男性化粧品の勢力図はどうなっているか
さて、資生堂への取材を終えた私は、現在の男性用化粧品の高級ライン勢力はどのようになっているのか知りたくなった。女性のメイクアップにだってシャネル、ディオールという二大ブランドがあり、そこにトムフォードなどが最近価格帯でも高級ラインにカチコんできて、徐々に勢力図が書き換わりつつあるのである。
もちろん資生堂が強いのはわかったが、それ以外の大手メーカーはどうなのか。たとえば大谷翔平が広告モデルを務めた美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」は、男性新規顧客が前年同期比約7.5倍。同商品を含む「コスメデコルテ」ブランドは2023年12月期に過去最高の国内売上高を達成したという。
コスメデコルテはコスデコという愛称で知られていて、1970年にコーセーより誕生した老舗の最高級の総合化粧品ブランドだ。
「大谷効果」は75~100億円?
コーセーの小林一俊社長が決算会見で「『コスメデコルテ』は起用した大谷翔平選手の効果が約50億円だったと聞くが、パブリシティ効果を入れると、そこから1.5〜2倍あったと推定している」と発表して大きな話題になった。
大谷さんはすごい。なにがすごいって老若男女みんな大谷さんの一挙一動に注目しているハイパースターだ。今までいろんなスターはいたが、この、みんな大谷さんのことを話している、という現象は素直にすごいと感じる。
そして現在、大谷さんのことはそこまで関心がないけど、ご結婚された大谷さんのパートナーである真美子さんのことは好き、という女子が多い(自分調べ)のもすごい。もう真美子さんと二人でコスデコのCMに出る姿が目に見えるようだ。