記事のポイント
サブリナ・カーペンターの新曲MVがプラダ バーム新色のプロモーションとして活用され、SNSでも高い話題性を生んだ。
美容ブランドが続々 サブリナ・カーペンター のMVが新たな「広告メディア」に
SupergoopやFree PeopleもMVを通じた自然な製品露出でブランド認知や売上向上につなげている。
美容ブランドは飽和市場のなか、ファンダムや音楽との融合で「喧騒を突き破る」新たな手法を模索している。
6月6日、歌手のサブリナ・カーペンターは最新シングル「マンチャイルド(Manchild)」のミュージックビデオを公開した。YouTubeではすでに3700万回再生されている。この動画は、カーペンターが公式パートナーを務めるプラダ ビューティ(Prada Beauty)が登場する3作目のミュージックビデオでもある。
ただし今回は、「プリーズ・プリーズ・プリーズ(Please Please Please)」や「テイスト(Taste)」のミュージックビデオとは異なり、実際のプラダ ビューティ製品は登場しない。その代わり、美しくデザインされたプラダのロゴ入りブルーバッグが登場し、その中にはバナナ味のゼリーキャンディが入っていた。このバッグはインフルエンサーにも配布され、ブランドの次なる発売アイテムを巡る憶測がSNS上で飛び交った。実際には、このキャンディは7月8日に発売されるリップバーム「プラダ バーム(Prada Balm)」の新色バナナイエローのプロモーションとして仕込まれたものであった。このゼリーキャンディをめぐる投稿は、ブランドの担当者によれば、SNS全体で1000万回以上の視聴を集めたという。
プラダの主力アイテムとなったバーム
価格50ドル(約7900円)のプラダ バームは、同ブランドのベストセラー商品であり、ステータスシンボルとしても機能する洗練されたパッケージで知られている。バナナイエローは同製品にとって6色目の新色となる。
MV「プリーズ・プリーズ・プリーズ」
プラダ ビューティが「アストラルブルー(Astral Blue)」という色味のバームを発売した際には、2024年に公開されたカーペンターの「プリーズ・プリーズ・プリーズ(Please Please Please)」ミュージックビデオを活用した。このバームは唇に塗るとピンク色に発色する。この動画はYouTubeで2億3500万回以上再生されており、発売後72時間以内に完売。その後もセフォラ(Sephora.com)で7回にわたり完売したと、プラダ ビューティ、イヴ・サンローラン ビューティ(YSL Beauty)、および今後ローンチ予定のミュウミュウ ビューティ(Miu Miu Beauty)のジェネラルマネージャーであるジュリエット・フェレ氏は語っている。
MV「テイスト」
2024年8月に公開された「テイスト」のミュージックビデオでは、カーペンターがナイフに自分の姿を映しながら、「プラダ モノクローム ソフトマット リップスティック(Prada Monochrome Soft Matte Lipstick)」のトンカ(Tonka)という色味を塗るシーンが登場した。動画は1億9200万回以上再生され、この商品もビデオ内での露出によって売上が上昇したと、ブランドの担当者は述べている。
プラダ ビューティは米国での展開からまだ2年も経っていないが、フェレ氏はカーペンターとの戦略的パートナーシップについて、同氏を「台頭するZ世代のアイコン」と評価し、「単に可視性を追うのではなく、ブランドとしての『関連性』も追い求めている」と語った。現在では、TikTokキャンペーンのような従来型の手法に比べ、ミュージックビデオはより意外性のあるアプローチだと同氏は述べた。カーペンターはインスタグラムで約4800万人、TikTokで3500万人のフォロワーを抱えている。「プラダとしては、常に予想外の方法でカルチャーにインテリジェントかつアーティスティックに入り込もうとしている」とフェレ氏は説明した。