小売業の再編で業界構造も変化、
市場動向を見極め競争優位へ
2024年の国内化粧品市場は、内需、インバウンドともに回復基調が強まった。
内需では、成分重視のトレンドを追い風により高機能なスキンケアアイテムや美容成分を配合したメークアイテムなどの需要が高まり、高価格帯化粧品を扱う百貨店・デパートが好調に推移した。また、物価高の影響を受けて、コスパ志向が強まり、ドラッグストアなど低価格帯化粧品を扱う業態も好調に推移した。
モルガン・スタンレーMUFG証券 調査統括本部 マネージング ディレクターの佐藤和佳子アナリストは「2025年上期もこの流れが継続している」と述べ、「しかし今後はリオープニングが終わり、内需もインバウンドも大きな伸びは期待できない。各社の業績見通しも少し慎重に見極める必要があると思う」と語った。
国内市場は想定より厳しめ、
小売業再編でシェア変動も
――2025年上半期の国内化粧品業界を振り返っていただけますか。
佐藤 1~3月期でみていくと、内需は前年同期比約2%増で推移した。一部ブランドで昨年の値上げによる駆け込み需要の反動影響が見られたが、アフターコロナのリオープニングも一巡して業界全体は通常の成長率に戻った印象がある。
販売チャネル別では、ドラッグストアが6%増、プラットフォ―ムECが10%増、オウンドECが5%増、デパートが3%減、専門店が2%減で推移した。
オフライン回帰も一巡し、アフターコロナで生活が忙しくなる中、近くの店舗やオンラインでの買い物が定着してきている印象がある。
――物価高の影響で節約志向が高まっています。価格帯別ではいかがですか。
佐藤 ドラッグストアの増収率が相対的に高く、低価格化粧品の方が総じて人気がある。
低価格帯が5%増、中価格帯が1%増、高価格帯(5001~1万円)が2%増、1万円以上の超高価格帯が横ばいで推移した。