PassCodeが4年半ぶりとなるフルアルバム『INSIGNIA』をリリースした。有馬えみりが加入して初となる本作は、2021年10月リリースのシングル『Freely / FLAVOR OF BLUE』や、レーベル移籍後にリリースしたシングル「WILLSHINE」「SKILLAWAKE」をはじめ、今や彼女らのライブに欠かせない楽曲だけでなく、超強力な6つの新曲を収録。今作を象徴する先行配信曲「INSIGNIA」、「VIRIVIRI」「Echoes」「One Time Only」など主役級の楽曲が揃った。これは間違いなくPassCodeを代表する作品で、これを彼女たちの最高傑作として推す人が続出しても不思議はない。
Rolling Stone Japan Webでは久々となる今回のインタビューは、高嶋楓と大上陽奈子という少々珍しい組み合わせでお届けする。メンバー全員が揃ったインタビューでは少々控えめにしていることが多い2人が、現在の胸の内を明かした。
【写真】PassCodeのメンバー
―『INSIGNIA』は4年半ぶりとなるフルアルバムです。前作『STRIVE』のリリース以降、いろいろと状況が変わりましたよね。苦労もたくさんあったと思いますけど、すべてが今につながっているように感じます。
大上 それはめっちゃあると思います。これまでもずっとそうですけど、必死にやってきてよかったなと思うし、ここまでちゃんとつなげてこれたからこそ、今も楽しくやれてるんだなって。
―ライブに関しては今が一番いいと言ってもいいくらい楽しいですよ。
大上 えー、うれしい。
―メンバーがのびのびしているし、バンドのパフォーマンスともいい具合に溶け合っていて、その感じがすごくいいなと。前は「バックバンド」と「メンバー4人」みたいな見え方だったけど、今はそうじゃない。
高嶋 3、4年前は、Zepp、武道館、野音みたいな大きい場所でのライブを1年の間にぽんぽんぽんってやっていくことが多かったり、ライブの本数自体が少なかったこともあって、バンドとの一体感というよりも、ただ4人のパフォーマンスを見せるライブが多かったんです。だけど、去年、全国を細かく回るツアーをやったんですけど、本数が増えて、会場もきゅっとしたライブハウスになってバンドとの距離が近くなったことで掛け合いも増え、そのおかげで全体がより混ざり合っていったんかなって感じはします。
大上 私もバンドと近くなったというのは感じるかも。バンドセットでライブを始めてからけっこう長い間、スタッフさんから「もっとグルーヴ感を」とか「ステージ上が噛み合ってない」みたいなことをめっちゃ言われてたんですけど、「グルーヴ感ってどうやって出したらいいねん……!」ってずっと悩んでて。だから、初期からPassCodeでギターを弾いてくれてるYoichiくんとよく話し合ったりもしたし、全体の決めごとを増やしたらもっとよくなるんかなと思ったりもしたんですけど、なんか……一緒にやっていくうちに勝手にグルーヴ感が出てきた気がします。
―なるほど。
大上 あと、これはグルーヴ感と関係あるのかわからないですけど、私は一昨年のUSツアーが終わってからより一層ライブが楽しくなって、ツアーから帰ってきた秋ぐらいから国内ツアーが始まったんですけど、それもめっちゃ楽しくて。アメリカという戦場へみんなで一緒に行ったことで仲間感ができたんかなって、今ちょっと思いました。
―それはあるかもしれないですね。USツアーは僕も同行しましたけど、ただのツアーじゃなくて、大げさに言うと、生きるか死ぬかみたいなノリがあって。
大上 向こうでの生活の仕方もわからんし、ライブもどんな雰囲気になるのか、お客さんがどんな人たちなのかもわからんし。そういうことをみんなで一緒に乗り越えないと、みたいなところはあったかもしれない。
―誰が何担当とか関係なく、動ける人が動かないと現場が回っていかないような感じでしたもんね。
高嶋 たしかに、(大上)陽奈子のいうグルーヴ感とか仲間感が、バンドだけじゃなくて、スタッフさんとの間でも高まったと思います。あと、USツアーをきっかけに語学の勉強をしたいと思ったんですけど、結局してなくて(笑)。海外に行ったら毎回そう思うし、日本でのライブにも海外の方がけっこういらっしゃるんで、そのときにちょっとでも話せたら喜んでもらえるとは思ってるんですけど……。
―多分、ここでこういうことを言えたらもっといい感じになるのにっていうことを心底感じたときに初めて、本当に勉強しようって思う気がします。
高嶋 確かに。あと、USツアーではメンバーがけっこう英語をしゃべってくれたから任せっきりにしちゃってましたね。頼りになりました。
―でも逆に、去年行ったアジアツアーの韓国公演では、高嶋さんの韓国語がフル回転してましたね。
大上 あのときはめっちゃ頼りになりました! 余談なんですけど、かえちゃん(高嶋)と2人で韓国旅行に行って、私が電車の切符をなくして改札から出られなくなったときも、かえちゃんが駅員さんとインターホン越しにやりとりしてくれたお陰で出られたんですよ。あれはほんまにすごかった。
―トラブル回避できる語学力はすごい。
大上 しかも、対面じゃなかったから、それってほんまに喋れる人ですよね。
―高嶋さんは、「好き」という気持ちだけで韓国語を身につけたんですよね?
高嶋 そうです。別にPassCodeに活かそうとか一切思ってない(笑)。ただの趣味でやってました。でも、ああやって初めて現地のファンの方と交流できたことでちゃんと言葉が通じるっていう安心感もあったけど、もっと上手くメンバーの言葉を翻訳できたなって思う場面もあったから、もっと頑張ろうって思いました。