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Met Fashion Exhibit Superfine

メトロポリタン美術館では、今年も春から秋にかけて開催される人気のファッション展がスタートしています。ファッション展と言えば、通常、目玉となるのは、女性のドレスですが、今年は、男性のスーツを中心に黒人男性のファッションをテーマとした、Superfine: Tailoring Black Style と題された珍しいファッション展が行われています。ブラック系ファッションは、近年では、スポーツ、音楽、ストリート系などさまざまなサブカルチャーからファッション全般にも大きな影響を与える存在になっていますが、今回の特別展では、そんな黒人ファッションの300年に渡る歴史を、歴史的なアーティファクトと黒人デザイナーによるさまざまなスタイルのファッションを通じて「ブラック・ダンディズム (Black Dandysim)」な視点で紹介しています。

Inside Met Fashion Exhibit Superfine

メトロポリタン美術館の2025年のファッション展、Superfine: Tailoring Black Style の会場となっているのは、2階左手奥の特別展ギャラリー (Gallery 999) です。
メトロポリタン美術館では、毎年 メットガラ (MET Gala) 後の春から秋にかけて、メットのファッション部門、コスチューム・インスティテューション (Costume Instituion) によりファッション展が行われています。ファッション関係者やファンは楽しみにしている人も多い人気の特別展で、今年2025年のMETファッション展は 10月26日まで開催されています。

Met Fashion Exhibit Superfine Entrance

昨年 2024年のMETファッション展 は、白を基調としたおとぎ話のような世界でしたが、今年は、打って変わって、黒を基調としたシリアスな雰囲気のギャラリーです。アメリカやヨーロッパにおける黒人男性のファッションをテーマとした特別展になっています。

ブラックダンディズムの視点でブラックファッションを振り返る今年のファッション展のもとになったのは、Monica L Miller が2009年に出版した、Slaves to Fashion: Black Dandyism and the Styling of Black Diasporic Identity と題された書籍です。Monica L Miller は、今回の展示にゲストキュレーターとして参加しています。

Inside Met Fashion Exhibit Superfine

展示は、ブラック・ダンディズムを体現する12のコンセプトをもとに構成され、ファッションスタイルから18世紀以降300年に渡る歴史を振り返ることができるようになっています。

最初のセクションのキーワードは、「所有 (Ownership)」 です。18世紀と言えば、プランテーション、奴隷貿易で栄えた植民地時代真っ只中ですが、多くの黒人たちがアメリカなど植民地に奴隷として連れて来られ、王室や貴族、商人などの富裕層の使用人、または労働者となっていました。奴隷は、金銭で取引され、富裕層の所有物として、立派な衣装を与えられることも多く、そんな時代のファッションやコインなどのアーティファクトが展示されています。
金や銀の豪華なアクセサリーなどラグジュアリーアイテムで自尊心を表現するスタイルは、現在でも、ブラックファッションでよく見られます。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Ownership

続いて、「存在 (Presence)」。アメリカやヨーロッパにおいて、黒人は、奴隷という身分から開放され、立場の不安定な時代が続きましたが、そんな時代に大切だったのが、個としての存在感で、服装やアクセサリーなどファッションも自身を表現する大切なアイテムとなっていました。
18世紀中頃にカリブ海の島で奴隷として生まれ、その後、イギリスの貴族の家に引き取られ教育を受け、解放後には、フェンシングに秀で、黒人でありながら上流階級で存在感を示した、Julius Soubiseさんなどが紹介されています。花をあしらったものなど存在感のあるファッションアイテムが展示されています。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Presence

豪華な軍服風のファッションが並ぶ、3つ目のセクションは「名誉 (Distinction)」です。平等主義など啓蒙思想の流れを汲んで、18世紀後半に起こったフランス革命は、世界的に大きな影響を与えました。フランスの植民地であったハイチで奴隷による反乱が起こり、1804年にハイチ革命の成功で独立を果たします。これはその後の奴隷解放運動にも影響を与えました。ハイチ革命を指揮した Toussaint L’Ouverture の肖像画、後にハイチ皇帝となった Faustin1世の剣、フランス革命で活躍した黒人の将軍、Thomas-Alexandre Dumas の全身肖像画などが軍服風のファッションと共に展示されています。

最も目立つ位置にあるこちらのコートは、ジョン・ガリアーノ (John Galliano) デザインの ディオール (Dior) のコートです。Vogue初アフリカ系アメリカ人のクリエイティブディレクター、アンドレ・レオン・タリー (André Leon Talley) が身に着けていたものです。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Distinction

こちらは「変装 (Disguise)」。アメリカでは、ハイチ革命後も19世紀中頃の南北戦争まで奴隷制度が続きました。その間、多くの奴隷たちは逃亡を図り、新聞には、服装などの特徴と共にそんな奴隷たちを探す所有者の広告が多く出ていたようです。
そんな歴史的背景のアーティファクトと共に人種や性別、階級などを隠したり、密かに暗示するファッションなども展示されています。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Disguise

そして「自由 (Freedom)」です。19世紀前半は、奴隷たちが自由を目指す一方、開放され見事に自由を手にした黒人たちも多くいました。そんな自由を得て成功を収めた黒人たちは、ブルジョア風のファッションを身に着け、肖像画を描いたり、白人文化を取り入れて行きました。
そんな時代の黒人の肖像画や白地が印象的なトップスやボトムスが展示されています。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Freedom

こちらは「チャンピオン (Champion)」。黒人はアメリカで古くから人気のスポーツだった競馬や、モハメド・アリ (Muhammad Ali) を代表とするボクシング、ウォルト・フレイジャー (Walt Frazier) のいるバスケなど、いろいろなスポーツで歴史に残る選手を輩出しています。
こちらのセクションでは、騎手のファッションなど、スポーツファッションが展示されています。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Champion

「尊敬 (Respectability)」のセクションでは、黒人の政治家や文化的なリーダーが着用して来たスーツを中心としたクラシカルなファッションが展示されています。
ルイヴィトン (Louis Vuitton) のメンズコレクションのクリエイティブディレクターであるファレル・ウィリアムス (Pharrell Williams) デザインのスーツなどがあります。ルイヴィトンは、ファレル・ウィリアムスの前は、同じくアフリカ系アメリカ人のヴァージル・アブロー (Virgil Abloh) がメンズのクリエイティブディレクターを務めていました。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Respectability

19世紀中頃の南北戦争後から 1920-30年代のハーレムルネサンスにかけて、ミュージシャンやダンサー、スタッフとして多くの黒人たちが活躍したのが、音楽が楽しめる飲食関連のお店 (Jook) です。そんな Jook でのファッションのセクションもあり、エンターテイメント的な面白さがあるタキシードなどが飾られています。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Jook

お札の束を見せるスーツが印象的な著名ジャズ奏者、Lionel Batiste さんの誕生日写真、Uncle Lionel’s Birthday Suit なども展示されています。

Met Fashion Exhibit Superfine Uncle Lionels Birthday Suit

こちらは「伝統 (Heritage) 」のセクションです。1960年代以降、黒人ファッションデザイナーたちは、ルーツであるアフリカの文化を取り入れたデザインの作品を多く手掛けるようになっています。そんな作品がずらりと飾られています。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Heritage

こちらは、原色のカラフルな色合いが印象的な「美 (Beauty)」のセクション。1950-60年代の公民権運動以降、美の対象としてのブラックと言う概念が芽生えて行きます。黒人ならではの美を際立たせるファッションが飾られています。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Beauty

最も身近なのが、街角で見かけることも多いストリートファッションが並ぶ、こちらの「クール (Cool)」のセクション。ジャズ、ヒップホップなどさまざまなサブカルチャーで生まれてきた遊び心のあるおしゃれなスタイルのファッションが展示されています。
ヒップホップのファッションで有名なハーレムのファッションデザイナー、Dapper Dan らの作品が展示されています。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Cool

最後は「コスモポリタニズム (Cosmopolitanism) 」のセクションです。多くの人々にとって旅行が日常になり、世界のさまざまな文化や人々と接する機会が増えている現在、いろいろな文化やスタイルを融合したファッションデザインも登場しています。そんなファッションや鞄などが展示されています。

ルイ・ヴィトンのバッグは、Vogue初アフリカ系アメリカ人のクリエイティブディレクター、アンドレ・レオン・タリー (André Leon Talley) のコレクションです。

左は、Wilsons x TELFAR Carry Bagです。

Met Fashion Exhibit Black Dandyism Cosmopolitanism

昨年2024年は「眠りの森の美女」で、花や鳥など自然をテーマとした童話の世界の中のような美しいファッション展でした。

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