マイクロニードルにより施術を受け、顔をゆがめる米村さん(c)KOREA WAVE
【06月14日 KOREA WAVE】米村耕一さん(52)が施術室に入って、30分ほどが過ぎた。
室内の棚に保管されている米村さんのスマートフォンが数分置きに振動し、そのたびに静かな室内に響き渡る。「韓国の通信社の速報です。メディアのアプリを多く使っているので、こうやってニュース配信を振動で知らせてくるのです」
◇「スタンプ」の痛み
さっぱりした表情になった米村さんだが、やはり緊張は解けていない。エステティシャンの重信聡美さんの口から「アンプル(AMPOULE)」という言葉が出てきて、それがさらに強まったように思えた。
プロセスは、先述した「アンプルを使った施術」に移る。
重信さんが手に取った親指サイズの小瓶が「ヒト幹細胞培養液のアンプル」だ。蓋はアルミで覆われ、中には美容成分が入っている。「余分な添加物は入っていません。フレッシュなものですよ。一度開封してしまうと、使いっきりです」
角質が厚い肌にはアンプルは十分になじまない。だからこそ、その前段階で「ピーリング」のプロセスを挟むことで、余分な角質を取り、柔らかい肌に整えておく。
アンプルの蓋が開けられ、中に入った液体が容器に移された。その液体が刷毛ですくい取られ、米村さんの顔全体に広げられた。
そして、重信さんが縦長の器具を手にした。
ここから始まるのがマイクロニードル(極微細な針)を使って皮膚に極微細な穴を開ける「マイクロニードル・セラピー・システム(Microneedle Therapy System)」。「マイクロニードル・セラピー・システム(Microneedle Therapy System)」。スタンプを押すように多数のマイクロニードルを一度に突き刺す。ドイツ「Dermaroller GmbH」社の「ダーマスタンプ」が開発したものに韓国企業が改良を加え、より深くアンプルを浸透させるようにした。
「最初、ちょっと赤味が出るのですが、だんだん引いていきます。いきますね」
重信さんはこう口にすると、器具を指3本でつまみ、米村さんの眉間にスタンプを押しあてるようにマイクロニードルを刺した。リズムを刻むように、1回1秒弱、当てては離しを繰り返しながら、額の上を移動した。
「どうですか?チクチクします?」
「します」
「痛いですか?」
「痛いっていうほどではないですが、ちょっと痛い」
顔をしかめている。
「耐えられますか?弱めますか?」
こう聞かれ、米村さんは「耐えます」と苦笑いした。
ダーマスタンプによる施術を受けながら「ちょっと痛い」と苦笑いする米村さん(c)KOREA WAVE
顔全体にまんべんなく、器具を押し付けるように肌にマイクロニードルを突き刺す。チクリとするのか、米村さんは時々、顔をしかめる。特に目の周りと額は皮膚が薄いため、やや痛そうにしている。
重信さんも米村さんの“動揺”を和らげようと努めているようだ。「髪の毛よりも細いんです。針っていうほどでもないんですけど……」。こう言いながら、再びアンプルに入っていた美容液を塗る。
「さあ、もう一周行きますね」
こんな“掛け声”を聞いて、米村さんは「はぁっ」と、ため息をついた。
顔をしかめながら、つぶやいた。「美容液が顔に浸透している実感がありますね。多少痛くないと、何でも効果がないのかな……」
プローブ上で、超音波の振動によって化粧水が飛び跳ねている(c)KOREA WAVE
ソニックによる施術の様子(c)KOREA WAVE
◇超音波振動?
次に施術室に持ち込まれたのは「ソニック」(超音波美顔機器)だ。毎秒200万回にも及ぶ超音波の振動を利用して、顔をマッサージする。それにより、毛穴深層部の汚れの除去▽新陳代謝の向上▽温熱効果による血行・新陳代謝の促進――をはかる。
「超音波は人には感知できないのです」。重信さんはこう口にしながら、皮膚に当てる器具(プローブ)を手に持った。見た目には何の動きも感知できないが、プローブに化粧水をたらすと、それが踊るように振動した。
米村さんの顔にゲル状の物質が刷毛でたっぷり塗られた。そしてプローブで超音波振動を肌に伝えた。プローブが顔の上を滑るように動いていく。米村さんは寝入りそうな表情を浮かべた。
「血行促進、リフトアップ、むくみを取る効果もあります」。重信さんはこう説明しながら、これを7~8分間続けた。
(つづく)
(c)KOREA WAVE/AFPBB News