女性・子ども向けのカジュアルファッションブランド「ANAP（アナップ）」を運営する東証スタンダード上場のANAPホールディングスは6月9日、国内初となるビットコイン（BTC）による資金調達を実施すると発表した。同日開催の取締役会で、「ビットコインを現物出資とする第三者割当増資」の実施を決議した。
今回の調達額は総額約114億円で、そのうち約80億円相当がBTCによる払い込みとなる。同社は7月18日に開催される臨時株主総会での承認を条件に、7月22日に払い込みが完了する予定としている。約80億円分のビットコインは、投資ファンドであるキャピタルタイフーンが保有する現物を出資する形で提供される。
残る約34億円については、企業の再生支援を目的としたネットプライス事業再生合同会社が円建てで払い込むが、増資後にビットコインに転換する予定だとしている。
同社はこの日、連結子会社であるANAPライトニングキャピタルを通じて、ビットコインを活用した新規事業を本格的に始動することも発表した。2025年8月期末までに1000BTC以上を保有することなどを目標として掲げている。
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リリースによると、調達資金と保有するビットコインは以下の4分野で戦略的に活用していく方針だという。
1. ビットコイントレジャリー戦略
2025年8月期末までに1,000BTC以上を保有予定。企業価値と財務安定性の向上を目指します。
2. トレーディング戦略
暗号資産市場における価格変動を活かした収益機会を創出します。
3. ライフスタイル事業
高感度なBTCユーザーを対象に、実店舗およびECで新ブランドを展開予定。
4. テクノロジー事業
ブロックチェーン技術を活用したBTC決済、マイニング、関連ソリューションを開発します。
このように、同社は本業であるライフスタイル・アパレル事業でもビットコインとの融合を視野に入れている。購買力の高い国内外のビットコインユーザーを対象に、新ブランドを企画・開発し、実店舗とECで展開する計画としており、本業と暗号資産戦略を結びつけた事業展開にも注目が集まる。
〈ANAPオンラインショップから（キャプチャ）〉
リリースによると、同社は今回の取り組みについて、「伝統的な金融の枠組みを超え、デジタル通貨の本質的な価値を中長期で活用する新たな資本戦略です。財務の健全性を維持しながら、暗号資産時代における企業の競争力を高める“堅実な成長投資”として位置付けています」とコメントしている。
｜文：橋本祐樹
｜画像：Shutterstock、ANAPオンラインショップ（キャプチャ）