◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
乃木坂46、櫻坂46、日向坂46。今年、坂道アイドルは在籍していた全ての1期生が卒業し、2期生以下のメンバーのみで構成される新時代へ突入した。
女性アイドルは、男性アイドルに比べて20代のうちに区切りをつけるケースが多い。理由はさまざまだが、「若々しいかわいらしさ」を求められる傾向が強いことも、その一つに挙げられるだろう。
昨年5月、乃木坂46を卒業する直前の山下美月(25)を取材した。グループの中でも随一の人気を誇り、東京ドームで2日間開催された卒業コンサートに計10万人のファンが集まったスーパーアイドルだ。
卒業を控えるアイドルに必ず聞く質問がある。「卒業後に楽しみにしていることはありますか?」。プライベートでの楽しみを明かす人が多い中、山下は真面目なトーンで本音を打ち明けてくれた。
「言葉に表すとキャピキャピ感みたいな、若々しさみたいなのってアイドルに必要だなと思ってやってきた。そういう意味では、卒業したら年相応になっていくのかなと。30代に向けて一人の女性としてちゃんと自立していけるんだなっていう楽しみがあります」
当時の山下は24歳。大人としての「落ち着き」が出始める年頃だと思う。その言葉を聞くと、決して無理をしていたわけではないだろうが、ファンが求めるアイドル像に誰しもが20代中盤あたりでギャップを感じ始めるのかもしれないと気づかされた。
私は山下の1学年下にあたる25歳。最近は学生のときのような“はっちゃけ”がしんどく感じる時もある。だからこそ、同世代のアイドルには心の底から尊敬の念を抱いている。(芸能担当・松下 大樹)
◆松下 大樹(まつした・ひろき) 2023年入社。同10月から音楽担当。