あの、ロングインタビュー。初表紙のファッションや最新アルバム『BONE BORN BOMB』について。 メンズノンノウェブ | MEN'S NON-NO WEB - Moe Zine

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アレキサンダーワンのトップストップス¥67,100/アレキサンダーワン 中に着たシャツ(マレーラ)¥36,300/三喜商事

「気づいたらぼくの中で“2人”を求めてる曲が増えてた」

──着替えるたびに衣装のディテールに注目していましたが、メンズノンノのファッション撮影、どうでしたか?

あの どのルックも見たことないというか、「これどうなってんの」って服ばかりで。ぼくはアイテムひとつ取っても、かわいいけど違和感を覚えるものに惹(ひ)かれるんです。普通に着るより、対極にあるもの同士を入れるのが好き。

──どの着こなしもかわいかったです。

あの 全部、かわいいけど強さを感じるのがめっちゃよくて。かわいい服着ること多いですけど、今回は自分の精神的なところにすごく突き刺さるものが多かったから楽しかった。

──精神的なところというのは?

あの 声とかもそうですけど、ぼくってけっこうユルいって思われがちですけど、自分を持ちすぎてしんどいぐらい意思を持ってるし、正直自分で自分のこと「強いです!」って言えるぐらい強くて。そういうところと重なった気がしたんです。

──強いと思うのは昔からですか?

あの それは音楽と向き合う中で見つけたというか。人と会話するより自由だし、恥ずかしいことも全部歌詞だったらいいか、音楽だったらいいかってなって、そうしたら「ぼくってこういうこと思ってんだ」って自分のことをもっと気づけて。何かあったら曲を作るみたいに自然となってて、基本的にぼくが書いている歌詞は、自分の実体験や私生活がけっこう入ってる。改めて読むと恥ずかしいけど、いい曲できたなと思うことも多いし、そういうのが音楽の魅力だなって。

アレキサンダーワンのトップス1

──具体的にどんな発見が?

あの ひとりでいるのが好きだし、デビューしてすぐはひとりの人を歌う曲が多かったけど、どんどんどんどん自分の中で二人を求めてる曲が増えてきて。ここ数年で「自分って意外と人を求めてるんだな」と気づいたんです。

──面白いですね。歌詞に二人の登場人物が自然といるってこと?

あの はい。「二人で」をイメージして書いてる歌詞がけっこうある。別に特定の誰かとかじゃなくて、絶対的な何かを求めてるって感じる。

──あのさんは、自分に素直にありのまま音楽にアウトプットするんですね。

あの せっかく自分で書くし、これから自分が歌っていくし、嘘(うそ)を言ってるとしんどくなるから、ぼくが書くやつは、自分が歌っていてもちゃんと感情が乗るものにします。だからか、年々音楽が生活の一部になってきて、もう衣食住の中にあるみたいな感覚。どの感情も音楽で表現したいってどんどんなってるし、それ以上にライブとか音楽で出したいって思ってる。それがなくなったら生活ができなくなっちゃう。

──6月4日にリリースする最新アルバム『BONE BORN BOMB』にも、あのさん作詞の楽曲がたくさん収録されています。制作にあたった前作からの1年6か月、どんな時間でしたか?

あの 前回のアルバムを出すまでは、世間の方にぼくを知ってもらう時間で、ぼく自身必死で生活も目まぐるしく変わっていって。それからこのアルバムまでは、自分ができることとかやりたいことを底上げしてくみたいな感じで、もっと濃くやりたいみたいな気持ちがどんどん強まっていきました。もっと音楽で表現したいから曲をいっぱい作ったし、正直今でも追いついてない。「感情を曲にしていかないと自分が壊れちゃう」みたいな感覚があって、それもまた必死だった。けど他にも仕事がいっぱいあったから、バランスをとるのがすごく難しかったです。

ホリデイのジャケットジャケット(ホリデイ)¥29,700/フラッグシップサロン オフィス 中にはいたパンツ¥19,800/アンブッシュ® ワークショップ パンツ¥103,400・靴¥71,500/JW アンダーソン 渋谷店 帽子¥6,600/ニューエラ チョーカー¥7,700/ラベルエチュード

──すべてに全力で向き合うからこそ、自分で自分を乗りこなすのが大変だったということですね。

あの この1年は今まででいちばんいい1年だったなって思うんですけど、世間の人からの目もあるから言葉にできない感情がたまりにたまりすぎて、ひとりでムカついてるみたいな状態で。バランスをとるのも難しくなった瞬間は、「今の気持ち全部、音楽で表現することをどこかで諦めちゃってるかも」って思っちゃうことも。それが、去年のツアー追加公演「絶対聖域」のとき。でもそれがあったから、ライブで全部ぶつけて「やっぱライブだな!」って楽しいと思ったし、自分に音楽がなくなったら本当にダメだって再確認して、一歩一歩踏みしめて歩いてこられた。ようやく自分が音楽をやることをちょっと肯定できたかなって気持ちでした。

──その思いを胸に、『BONE BORN BOMB』の楽曲を聴くとまた感じ方が変わりそうです。気になるアルバム名はどうやって生まれたんですか?

あの あまり深い意味はなくて…もともと「骨」一文字にしようと思ったけど、もうちょいポップにしたくて「骨」と、「生まれたままの姿」とか「生きる」という意味とで、「爆発」ということで、爆発して自分の顔とか体とか肉体がなくなって骨だけになっても、骨だけは生まれたままの姿だし、そこに残った魂が「自分=あの」だということを示せるアルバムにしたいなって思ったのもある。かわいいとかカッコいいだけじゃない、自分のアイデンティティを示す意味を込めてつけました。

──アルバム名からも音楽への愛と熱が伝わります。6月からのツアー、さらに9月に行われる初の武道館公演に向けて、考えていることは?

あの このアルバムの曲は、今まで以上に自分が乗ってる気がする。ライブで自分を表現したいから曲を作ってるという感じで、ライブがぼくのモチベーション。ようやくこのアルバムを出せてライブができるので、今まで以上にファンの人と近い距離感で音楽を届けたい。そのためにぼくの全部をさらけ出すことが大事だと思ってて。そうすれば、みんなもこれまで生きてきた中で生まれたいろんな感情を消化できたり、ぶつけられると思うから。

──印象に残っている楽曲制作中のエピソードが知りたいです!

あの 例えば、「許婚(いいなず)っきゅん」は、TVアニメ『らんま1/2』のオープニングテーマに作ったから、らんまの世界観に合わせることをいちばん重視しつつ、作曲者の真部(脩一)さんと話しながら、という感じ。歌が早口すぎて最初は泣きそうになってたから、今は歌えただけで、「おおっ!」ってなります(笑)。劇場版『僕とロボコ』の主題歌「ロりロっきゅんロぼ♡」はタイアップ作品だけど、自分のやりたいことがたくさん浮かんで、かわいいけど、おもちゃがぐちゃぐちゃに壊れた感じにしたくて、編曲の際に後半はちょっとクラブっぽい音を入れて、トランスできるようにしてもらってて。あえてかわいい曲にしたのは、世間でロックンロールとかパンクって言われてるものが嘘くさいし、ぼくはぼくがいちばんロックだしパンクだって思ってることを表現したかったから。

オリミのトップス2トップス(オリミ)¥81,400/サカス ピーアール パンツ¥35,200・靴¥34,100/アキコアオキ ヘアピン¥33,000・ネックレス¥308,000/アンブッシュ® ワークショップ ソックス(ザ シンゾーン)¥2,420/シンゾーン 表参道本店

──おおお…カッコいい…。

あの (笑)。「愛してる、なんてね。」は、尾崎世界観さんが作曲してくれて、ぼくは作詞しなくていいかなって思ったけど、尾崎さんが「絶対いい歌詞書くと思うから」と言ってくれたので、「じゃあ書こう」って(笑)。すごくこだわったのは(Bメロの)〈600W,1分30秒の光が照らす灯り やりとりはしりとり〉の部分。電子レンジの前で男女がしりとりをやってるというテイで、〈どうせまたすぐ冷めるくせに〉は、愛の熱が冷める意味も入れてて、その後のセリフで〈運命だね〉〈ねぇ〉〈映画みたい〉ってしりとりになってるんです。ギミックとかこだわって書けたときは気持ちいい。ドラマ『【推しの子】』の第4話主題歌にもなった「Past die Future」は、自分で作詞・作曲をやってるんですけど、書くたびにどんどんMEMちょと自分が重なっていく感じが強くなっていって。作ってても歌ってても全部きもちかった。アイドル特有の、自分だけの武器を振りかざして自分だけの愛の伝え方をするという…ぼくでいうと、弱いところとかグロいところも晒(さら)すっていうのがあるんですけど、1番のサビの〈遺影〉〈愛も血も晒して〉、2番の〈お悔やみ申し上げます〉〈神も地位も要らないんだ〉というところで表現できたと思います。「絶絶絶絶対聖域」の(2番の)〈革命前夜はあいつのキモいとこ言おう ドラマチックなんて似合わないから〉は、ひねり出したわけじゃないけど、このフレーズが出てきたときは、この曲のいちばん強いとこが出たなって感じました。

──作詞する際のこだわりは?

あの 音楽とか本とか詳しくないし別に全部人並みぐらいで、さっきも言ったけど自分がそのまま出てるだけで。でも、自分が言うこと、人から聞くこと全部に、どんな意味があるかを考えてる。一つ一つに「何でこういう状況になってるか」「これを言ったらどういう状況になるか」とか、生活のちっちゃいとこだけど、いつも研ぎ澄ましてるのが曲につながってる気がするし、つながってるといいなって。人に「全然話聞いてないでしょ」「何も考えてないんでしょ」って言われるんですけど、逆に考えすぎて、聞きすぎてそう見えてるんだろうなって思ってる。

──アーティストanoさんとして、今後やりたい、やってみたいことは?

あの もっともっと自分の音楽を届けたいっていう気持ちが強いんで、止まらず作り続けてます。あと、技術的にパフォーマンスを上げるためにギターももっと弾きたい。音楽がしたいっていう、ただそれだけです。

オリミのトップス1トップス(オリミ)¥38,500/サカス ピーアール 中に着たパーカ¥59,950/エフシーイーフラッグシップストアトウキョウ スカート(バウム・ウンド・ヘルガーテン)¥35,200/エスアンドティ ソックス[3足セット]¥1,430/ニューエラ ミュール¥150,700/アレキサンダーワン

──私生活でも音楽を聴きますか?

あの ノイズ系が好きで、疲れたときとかはお風呂で爆音で聴く。すっきりします。音楽始めた頃に共演して、音楽の自由さとか可能性を示してくれた、「非常階段」のJOJO広重さんのノイズミュージックはずっと好きです。

──私生活で今ハマってることは?

あの 世の中のブームの編み物はぼくもけっこうやってて。初心者なので、猫耳帽子とかポーチとか作ったりしてます。あとカメラも動画編集も好きだし、アニメも観ます。ごはん食べながら『ケロロ軍曹』観たり。さっきメイク中もケロロ観てました(笑)。昔から好きで、何百話もあるから、好きな話を見返したり。

──バッグにギロロ伍長のチャームがついてますね。

あの ギロロ好き。あと、『弱虫ペダル』の御堂筋(翔)くんも好きで、大きい人形もバッグにつけてます。御堂筋くんが好きなだけで、主人公は別に好きじゃない(笑)。だから(御堂筋が出るアニメ)第11話以降のインターハイとか観てる。御堂筋くんガチ勢。本当に好き。

──次の休みは何をしたいですか?

あの いろいろ好きなことあるけど、逆に全力でハマれない自分もいて、やっぱり仕事優先になっちゃってるから…。アニメを観たりゲームしたりするかな。旅行もしてみたいはしてみたいけど、なんか疲れちゃいそうで…でも旅行もしてみたい(笑)。

アヴァヴァヴのジャケットとジャンプスーツジャケット¥96,800・ジャンプスーツ¥134,200(ともにアヴァヴァヴ)/サカス ピーアール トップス¥67,100/アレキサンダーワン 中に着たシャツ(マレーラ)¥36,300/三喜商事 靴¥42,900/アキコアオキ

 

PROFILE
ano

9月4日生まれ。俳優やタレントとともに、ano名義でアーティストとして活動。近年はドラマ『民王R』や『【推しの子】』シリーズ、映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(声優)に出演。6月4日に発売するセカンドアルバム『BONE BORN BOMB』を記念した、東名阪のリリースツアーを開催。さらに、9月3日に武道館公演が控えている。

Photos:Mitsuo Okamoto Hair&Make-up:URI Stylist:Yuka Maruyama[Makiura Office] Model:ano Interview&Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]

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