キャサリン妃のウエディングドレスにも採用
Pascal Le Segretain//Getty Images
2011年の結婚式で「アレクサンダー・マックイーン」のウエディングドレスを選んだキャサリン妃。歴史に残るそのドレスに使われたのが、フランスのソフィー・アレット社のリバーレースである。そのことからもわかるように、リバーレースはほかのレースとは一線を画した特別な存在として、クチュールメゾンや高級ランジェリーブランドで採用されている。生産には途方もない時間と手間がかかるが、それでも人々を魅了してやまないのは、ほかでは代えがたい美しさと優雅さがあるから。
1813年イギリス・ノッティンガムが発祥
SAKAE LACE
リバーレースは1813年、イギリス・ノッティンガムでジョン・リバー(John Leavers)氏がリバーレース機を開発したことに始まる。その後、その技術はドーバー海峡を越えてフランスのカレー・コードリー地方へと渡り、同地は今に続く高級リバーレースの産地となった。前述のソフィー・アレット社もこの地を拠点としている。
このリバーレースを1958年からアジア地域で製造しているのが日本の栄レース。現在、世界で最も多くのリバーレース機を保有し、会社で世界NO.1のリバーレース生産量を誇り(※)、世界中の名だたるメゾンで採用されている。
※メーカー調べ
200年前からほとんど変わらない手法で製造
SAKAE LACE
リバーレースが“特別な存在”とされるのは、その美しさに加え、ほかにも理由が。オートメーション化が進む他のレース機に対し、リバーレース機は開発された200年前からほとんど変わらない手法で製造されている。また、あまりに手間がかかるため、新たにリバーレース機は作られておらず、現存する機械を修理しながら大切に使い続けている。機械を使用してはいるが、その操作技術は伝統を受け継ぐ無形文化財のようなものであり、熟練した職人しか手掛けることができない。
手作業で毎日糸をセットする気の遠くなる作業
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リバーレースの製造に時間がかかる理由のひとつが、リバーレース機にセットするボビンへの糸巻き作業である。厚さ1mm以下の隙間に1本ずつ糸を通す作業は、すべて手作業で行われ、1台のリバーレース機に約5000枚のボビンをセットする必要がある。栄レースでは80台以上を所有し、毎朝40万枚のボビンを手作業でセットしている。さらに、機械の調子は天候や使用する糸によっても左右される。「リバーレース機を動かすのは、女王様のご機嫌を伺いながらお世話をするようなもの」とは、栄レース社長の弁だ。
東京デザイナーもリバーレースの美しさに魅了
Kanako Sakai
これほど手間がかかるため、リバーレースは必然的に価格も高くなり、完成にも時間を要する。それでも多くの人を魅了してやまないのは、2万本もの糸が複雑に組み合わさって生まれる唯一無二の美しさゆえ。東京を拠点とするデザイナー、「カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)」もその美しさに魅了された一人であり、2025-26秋冬コレクションではリバーレースをふんだんに使ったルックで独自のエレガンスを表現した。透明感や軽やかさと同時に、クラフトワークが重視される今のファッション界で、リバーレースの存在感は増すばかりだ。
参考文献/栄レースHP、『ファッション入門講座 素材いろいろ物語』若狭純子編(繊研新聞社)
リバーレースを使ったランジェリー10選
素肌に重ねたリバーレースの美しさは格別。大人の女性だからこそ似合う、その優雅な美しさをランジェリーで堪能して。
ランジェリークリネン糸を使用したプリミティブな美しさ
リバーレースの美しさを最大限に引き出したアイテムを数多く展開する「ランジェリーク」。このレースもフランスのサフィランリネン糸を使用し、栄レースによって作られたもの。リネン糸の素朴な質感とリバーレースならではの繊細な柄が融合し、希少価値のある特別なものに。スリップとしてはもちろん、服に重ねてカジュアルにも楽しみたい。
ネイチャ スリップ¥28,600/ランジェリーク
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アロマティックフランス製リバーレースをぜいたくに
「アロマティック」ブランドデビュー10周年を記念し、ソフィー・アレット社のリバーレースをぜいたくに使用して作られた総レースのトップス。ブラジャーやキャミソールを下に着て肌見せしたり、ジレやジャケットを羽織ってレイヤードルックを楽しんだり、個性を発揮したコーデネートでモードなレースルックを完成させて。
ロングスリーブ¥41,800/アロマティック
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マイミアサテンとレースの美しきコンビネーション
使用するレースは全てリバーレースというこだわりを持つ「マイミア」。背中開きのトップスに合わせる見せブラとしても人気のストラップレスブラに使用しているのは、ソフィー・アレット社のリバーレース。つやめくサテンと繊細なレースのコンビネーションが、グラマラスなムードをかもし出す。
ストラップレスブラ¥23,760、ソング¥13,860/マイミア
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リズ シャルメルフレンチエレガンスを体現するつややかスリップ
1953年にフランス・リヨンで創業し、フレンチエレガンスを今に受け継ぐ老舗ブランドとして、パリジェンヌからも愛される「リズ シャルメル」。シルク混の身生地にフランスのカレー・コードリー地方で製造されたリバーレースをあしらった人気シリーズ。商品には同地方で製造されたレースの証しであるタグが付けられている。
スリップ¥51,700/リズ シャルメル(リバコ)
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ユエ磨かれた感性と技術が宿るノンワイヤーブラ
“豊かな日常を届けるブランド”として2021年にデビューしたワコールのブランド「ユエ」。その中でも人気なのが、無駄のない美しさに磨かれた感性と技術が宿るこのベーシックライン。ストレッチリバーレースをたっぷりと使ったノンワイヤーブラは、軽い着け心地と優美なディティールが自慢。
ノンワイヤーブラ¥18,700 ショーツ¥8,800/ユエ
ブラの詳細を見る ショーツの詳細を見る
フロラーレ バイ トリンプラナンキュラスをリバーレースで表現
大人の女性のためのブランド「フロラーレ バイ トリンプ」のリュクスラインは、今の季節かれんな姿で咲くラナンキュラスをリバーレースで表現。身生地に使用しているのはなめらかな肌触りでほどよい光沢感があるマイクロファイバー。モスグリーンとリバーレースの組み合わせがシックかつ新鮮。
フロラーレ リュクス キャミソール¥19,800/フロラーレ バイ トリンプ(トリンプ・インターナショナル・ジャパン)
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カリーヌ・ギルソン1点1点ハンドメイドされるクチュールランジェリー
ベルギー・ブリュッセルのアトリエで熟練の職人の手によって1点1点創られる「カリーヌ・ギルソン」。最高級のフランス・リヨン産のシルクとシャンティレース(リバーレースの一種)を使用したクチュールランジェリーは、ラグジュアリーそのもの。贅(ぜい)を尽くした1枚を一生に一度はまとってみたい。
シルクシフォン シュミーズ レーストリム¥159,523/カリーヌ・ギルソン
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キキ ド モンパルナス新たな高揚感を授けてくれるガーターベルト
ニューヨークのアトリエでハンドメイドされている「キキ ド モンパルナス」はクラシックかつモダン、そして挑発的。すでにリバーレースの魅力を堪能しているランジェリーラバーには、ぜひ非日常なアイテムであるガーターベルトも楽しんでみて。その官能美がこれまでにない高揚感を授けてくれるはず。
リバーレース サスペンダー ベルト¥43,659/キキ ド モンパルナス
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エージェント・プロヴォケーターかわいらしさと官能性を備えたバルコネットブラ
1994年創業のUK発ブランド「エージェント・プロヴォケーター」。コルセットを想起させるバルコネットブラに小さなリボンをあしらったセットは、一見かわいらしくもありつつセンシュアルさも感じさせる独自の世界観。リバーレースの使い方にも、UKブランドらしいクリエイティブ力を発揮している。
リバーレース ブラ¥37,510 ストレッチリバーレース ソング ¥22,364/エージェント・プロヴォケーター
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サロン バイ ピーチ・ジョンシリーズ累計22万枚突破の人気ブラ
まるでまつ毛のような端を持つアイラッシュリバーレースを使用したセットを、手に入れやすい価格で展開する「サロン バイ ピーチ・ジョン」。同ブランドのトップセラー“ヨーロピアンコルセッタブラ”はサイズアップしたかのようなボリューム感が人気の秘密。シリーズ累計22万枚突破*も納得。
*2017年8月30日~2025年3月24日(ショーツも含む)
ヨーロピアンコルセッタブラ¥6,300 ヨーロピアンコルセッタショーツ¥3,000/サロン バイ ピーチ・ジョン
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