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HAPTA

手が不自由な人のためのメイクアップデバイス、ランコムが2025年末に製品化:WIRED WHITE LIST 016

メイクをもっとインクルーシブに

ランコムが「CES 2023」でプロトタイプを発表した「HAPTA」を覚えているだろうか。

「HAPTA」は手を細かく正確に動かすのが難しい人のために考案されたメイクアップアプリケーターだ。カメラの手ブレを防ぐスタビライザーのように、使う人の手の動きに合わせて口紅を水平に安定させ、メイクをしやすくする。

HAPTAに使われているのは、グーグルの親会社であるAlphabet 傘下でヘルスケア事業を展開するVerilyの技術。もともとは手や腕が不自由な人が食事をしやすいよう食器を水平にするために開発されたものだ。マグネット式のアタッチメントを採用したことで、口紅の交換も容易になっている。

さて、なぜ2023年に発表されたHAPTAをいまになって取り上げているかというと、2025年末についに製品としてローンチされることが発表されたからだ。日本でもNPOにHAPTAが50台寄付されるという。なお、将来的にはマスカラでも同様の製品を開発予定だ。

マス市場向けではない特定のニーズに合わせたアクセシビリティ向上のための製品は、アイデアやプロトタイプの段階では注目されても、実用化されるまでの道のりは必ずしも話題になりやすいものではない(とはいえ、世界では5,000万人もの人が細かい手の動きに困難を抱えているというのだから、マス向けではないと言い切るのも間違いかもしれないのだが)。

だからこそ、製品化までをきちんと見届けておきたい。誰もがメイクをしやすい時代に近づくなんて、グッドでビッグなニュースじゃないか。

メイクアップデバイス「HAPTA」(233×26×26mm・重量106g・ストラップなし)
※日本での販売未定(2025年にドネーション予定)
〈LANCÔME/ランコム tel. 0120-483-666〉

※『WIRED』によるガジェットの関連記事はこちの関連記事はこちら。

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