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ジリアン・アンダーソン

Courtesy L’Oréal Paris

ロンドンのクラリッジスにある、明るく風通しの良いスイートルーム。そこに現れたジリアン・アンダーソンは、慌ただしい朝を迎え、スケジュールも大幅に遅れていると聞くにもかかわらず、ゴージャスな空間を背景に落ち着いた雰囲気を漂わせている。「ロレアル パリ」の新たなスポークスパーソンとして多忙を極めているはずだが、バターイエローのブラウスに髪をゆるくまとめ、肌にはごく自然な色味とマスカラだけ。私たちに与えられたインタビュー時間は短いと聞いていたので、「さっそく始めましょうか」と声をかける。

ところが、話題は尽きそうにない。昨年だけでも、彼女はソフトドリンクブランド「G-Spot」を立ち上げ、アンドリュー王子の衝撃的なインタビューをドラマ化したNetflix『グレート・スクープ』ではジャーナリストのエミリー・メイトリス役を演じ、さらに映画『The Salt Path』では粘り強いレイナー・ウィンを演じることが決まっている。それ以外にも、活動家として、そして作家としての顔を持つ彼女は、世界中の女性たちの匿名の体験を集めることで性的ファンタジーや欲望、親密さを探求した新刊『Want』の制作をサポートした。

ジリアン・アンダーソン

Getty Images

「新刊の『Want』でわかったのは、女性たちが欲しいものを求めるときや親密さや空想に向き合うとき、いまだに恥という概念が大きくのしかかっていることです」と彼女は話す。「自分の体験談を投稿した女性たちは、“見てもらえている、聞いてもらえている”と感じたと言うし、読んだ側の女性たちにも大きく響いたようです」と続ける。

ジリアン・アンダーソンの人生や作品を見渡すと、常に“女性の強さ”というテーマが根底にあることに気づかされる。たとえばドラマ『セックス・エデュケーション』で限界を打ち破るジーン・ミルバーン博士を演じたり、『ザ・クラウン』でマーガレット・サッチャーに扮したりと、その高い表現力が注目を集めてきたのも納得だ。「私自身、そして私の自己認識に最も大きな影響を与えたキャラクターは、ドラマ『ザ・フォール』のステラ・ギブソンですね」と彼女は振り返る。

「ステラがどのような立ち振る舞いをして、自身をどうケアし、どんな服装を選んでいたか。それらすべてが“自分のため”だったんです。今日、私が身につけている服も、ステラなら着るかもしれないと思いました」と微笑む。「ステラを演じたことで、私は自分のことを十分にケアしていなかったり、官能性やセクシュアリティを自分自身とつなげていなかったりしたことに気づかされました。『それはあなたの中にあるものなんだ』って気づかせてくれたのがステラだったんです」と語るその横顔は、とても穏やかだ。

ジリアン・アンダーソン

Getty Images

とはいえ、新しい挑戦を次々と手がける中でも、気負いはあまり感じられない。落ち着いた表情でインタビューを続ける彼女にとって、この多忙さすらも日常の一部なのかもしれない。外にはまだ、慌ただしいスケジュールが待ち受けているはずだが、まずはじっくりと、彼女の飾らない言葉に耳を傾けたくなるのだ。

ジリアンは、いまなお社会に根強く残る古臭い女性のステレオタイプについて、長年にわたって声を上げてきた。美の業界で加齢に対する偏見が今も存在すると思うか、そしてその考えをどう変えていけばいいのか尋ねると、彼女はこう答える。

「広告や映画など、どんな場面でもあらゆる年齢の女性がきちんと表現されていることが重要だと思います。そして女性が主要なキャラクターとして活躍し、さらに上級職へ就く機会が広がって、あらゆる業界で発言権を持ち続けること。それらが大切です。特に、年齢を重ねる女性が“恥ずかしい”と思われてしまう風潮はいまだに強いですからね」と語りつつも、少しずつ前進はしていると熱心に指摘する。

メイクが持つエンパワーメント効果についても意見を交わした。「メイクアップは政治的アクションになり得ますよね。化粧をするかしないかは別として、それは自己表現や個性を表すうえで非常に大きな役割を果たすと思います。自分にパワーを与えてくれる、そんな感覚があります」

ジリアンにとって、マスカラはまさにその象徴的なアイテムだという。

ジリアン・アンダーソン

Courtesy of L’Oreal Paris

「マスカラをつけずに家を出ることはありません。つけないと何だか裸のように感じますし、私にとっては小さな儀式みたいなものです」と笑顔で答える。



肌の健康は、これまでは最優先事項というわけではなかったようだ。「年齢を重ねるにつれてスキンケアがより大切になりました。私は長いこと肌に無頓着で、ファンデーションをつけたまま寝てしまったり、きちんとクレンジングをしなかったりしていました。でも、実は娘のおかげでスキンケア、特にクレンジングと正しい保湿剤を使うことにしっかり目を向けるようになりました」と話す。

心と体のつながりについて尋ねてみると、「全身でウェルネスを受け入れるというのは、自分にとって前向きな行為に感じます」と彼女は言う。「瞑想やヨガにフォーカスしてきましたが、心と体をきちんと結びつける時間を自分に与えることで、その違いをはっきりと実感できます」

さらに「冬虫夏草やアシュワガンダのような植物由来のものを取り入れることも重要です。それによって認知機能に本当に違いが出ると感じるんですよ」ともつけ加える。

「自分の性格もよく理解しているので、ウェルネスにあまりにのめり込み過ぎて生活のすべてにしないようにも気をつけています。時間があるときは、それが自分の気分を向上させると分かっているので意識はしますが、時間がなくてできないときはあまり自分を責めないことにしています」とジリアンは続ける。

ジリアン・アンダーソン

Getty Images

残り時間がわずか2分になり、彼女のチームが徐々に部屋に入ってくる中で、私は急いで「2025年には何が待っているのでしょう」と問う。すると、やはり短い時間内には収まりきらないプロジェクトが控えている様子。

「Netflixとの大作西部劇『Abandons』、インディーズ映画『The Salt Path』、それから『Trespasses』というドラマ化の作品ですね」と彼女はつけ加え、そこで別れた。ジリアンの挑戦と輝きはまだまだ止まらなさそうだ。

Realization : Amelia Bell、Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

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出典:UK ELLE

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