「雨あがる」山本周五郎【一生に一度は読むべき名作】
雨 上がる山本 修郎 1もう一度悲鳴のような声をあげてそれ から女のわめき出すのが聞こえ たまたあの女 だ三沢兵は寝転んだまま傷かわしそうに 薄めを開けて妻を見たおは縫い物を続けて い た震わせを解いて張ったのを人へに直して いるのである茶色にすけた正子からの 明かりで痩の目立つ頬や尖った片付きや針 を持つテビなどがやれた老女のように 痛々しく 見えるだがきちんと言った豊かな髪と 鮮やかに赤い唇だけはまだ娘のように 若々しい産まないためでもあろうが結婚 するまでの裕福な育ちが7年間の苦しい 生活をしいでそこにだけカジで残っている ようでもあっ た外は雨が降っていた梅雨は開けたはずな のにもう15日も降り続けで今日も上がる 景色は ない小雨だから降る音は聞こえないけれど も夜も昼も絶え間ない山崩には気がめいる ばかりだっ た泥棒がいるんだよここには泥棒 が女のあけすけなわめき声は高くなっ た人の書きかけの飯を盗みやがった ちょっと洗い物をしてくる間にさ私は ちゃんと鍋に印をつけといたん だ異は固く目をつっ た珍しいことでは ない筋の街外れのこういう安宿ではこんな 騒ぎがよく 起こる客の多くはごく貧しい人たちで大抵 が雨売りとか縁日商人とか旅を渡る安旅 芸人などだから少し長く振り込められでも すると食うものにさえこきつい他人のもの に手を出すというものも稀ではなかっ ただが泥棒とはひどすぎる 泥棒と は異は自分が言われているかのように 恥ずかしさとすまないような気持ちとで胸 がドキドキし始め た女の叫びは高くなるばかりだが他には誰 の声もしなかっ たこちらの3条の小部屋からは見えない けれども路のあるその部屋には住人ばかり も大罪客がいるはずで あるに持ちの夫婦連れも2いて小さい方の 子供は1日中泣いたりグったりするのだが 今はその子さえ息を潜めているようであっ た女は日陰の商売をする味まで普段から 同宿者との折り合いが悪かった誰も相手に
なるものがなくみんなが彼女を避けていた もちろん軽蔑ではない自分が生きることで 手いっぱいな人たちには職業によって他人 を癒るような習慣も暇もなかっ た彼らが女を避けるのは彼女の立位が あまりに乱暴でトゲトゲしくってまた貨車 のないすごいような毒口を聞くからであっ たつまり一目置いているわけであるが彼女 はそうは思わない様子で常にあさな敵を彼 に示してい た半月も振り込められて今みんなが植かけ ているのにそんな商売をしているためか 彼女だけは乏しいながらにを欠かさなかっ たそれは日頃の敵い心と自尊心を大いに 満足させているようであっ たあんまりだなああれ はイはこうつぶやいて女の叫びがますます 高くとどもなく辛辣になるのにたまりかね て起き上がったあれではひどいもし本当に それがそうだったとしてもあんな風に人の 心持ちが痛むようなことを言うのは良く ないと思う な独り言のようにつぶやきながらそっと妻 の顔色を伺っ た彼は背も高いし肩も胸も熱く肉の 引き締まったいい体で あるふっくらと丸い顔は体操乳で尻下がり の目や小さな口すぎには育ちのいい少年の ような清潔さが感じられたええそれはそう です けれどおは縫ったところを爪でこきながら 夫の方は見ずに行っ た皆さんももう少しにしてあげたらと思い ますわあの方はのけ者にされてると思って 寂しいのでついあんなに気をお立てになる んです ものそれもあるでしょうがそれにはあの女 の人がもう少しなんと か異はピクッとし た女がついに人の名をさしたので あるなんとか言わないかえそこにいる説教 節の じじ女の声は何かを突き刺すようだっ た調ばくれてもだめだよ私はもうじゃない んだお前が盗んだくらいのことは初めから 分かってるんだいつかだっ てイは飛び上がった行けません あなたお便が止めようとしたが彼は襖を 開けて出ていっ たそこは農家のロノ間に似た部屋で片方が 店先から裏へ抜けるどになって いる畳は6畳と8畳が鍵形につがって しかれ上がり花の板敷きとの間に大きな炉 が切って ある農家と違うのは天井が低いのと大抵の
客が別に部屋を取らずそこで込み合って 寝るし鍋釜を借りてその炉で煮た気もする ためそれらに必要な道具類が並んでこと などであっ たその女はロバにいた片手を懐に入れ立膝 をして青白く不健康に痩せた顔を引きつら せギラギラするような目であたりを睨み ましそうしてつんざくような声でわめき 立てる他の客たちは皆離れて膝を抱えて うれたり寝そべったり子供をしっかりい たりしてじっと息を殺してい たそれは嵐の通過するのを辛抱強く待って いる家の犬といった感じだっ た失礼ですがもうやめて くださいイは女の前へ行って優しくなめる ように言っ たここにはそんな悪い人はいないと思うん ですみんな良い人たちでそれはあなたも いらっしゃる でしょうほっといて ください女は速歩を向い たおけさんには関わりのないことですよ私 は卑しい家業こそしていますがね自分の ものを盗まれて黙ってるほど弱い知りは 持っちゃいないんです からそうですとも無論そうですよしかし それは私が償いますからどうかそれで勘弁 することにしてください 何もおけさんにそんな心配していただく ことはありませんよ私は物が惜しくって 言ってるんじゃないんです からそうですとも無論ですよしかし人間に は間違いということもあるしお互いにこう して同じ屋根の下にいることでもあるし とにかくそこはどうか1つ私がすぐになん とかしてきます からそれだけ言うと異は何やら忙しそうに 立っていった 正門は正門これは これ宿の名を大きく描いたバガさをさして 外へ出るとすぐ彼はこう独り言を言い くすぐられでもするように微傷を浮かべ た目の前にこういうことが起こった以上 自分の両親だけ守るというわけにはいき ませんからね えそれはかえて両親に反する行ですよいや 彼はふと真面目な顔に なりいや何もしないんだから好意とは言わ ないでしょう無意とも言わないですねわけ のわからないことをつぶやきながらひどく いいと元気な足取りで城下町の方へ歩いて いっ た 2彼が宿へ帰ったのは4時間ほどののこと であっ
た酒を飲んだのだろう真っ赤な顔をしてい たがもっと驚いたことには彼の後から56 人の若者や小僧たちが色々な物資を持って ついてきたことで ある米屋は米のタをややは1とかの野菜を 魚屋は番台2つに魚を酒屋はご小入りの逆 に味噌 醤油そして頭屋の後から大量の巻と炭 などこれはまあどうなすったん です宿の主婦が出てきて目を見張っ た若者や小僧たちは 担ぎ込まやどへずらっと並べ た景気直しをしようと思いまして ね異は目を細くして笑い呆れている同宿者 たちに向かっていった皆さんすみませんが 手を貸してください長めの演技直しに みんなで一口やりましょう少しばかりで 恥ずかしいんですがどうか手分けをして私 も飯ぐらい炊きますから手料理ということ でやろうじゃありません か同宿者たちの間に喜びとも苦しみとも 判別のつかない短足のような声が起こった すぐには誰も動かなかっ ただが異が歌詞を出してみせげ さ桶のたしをするの子供がその母親の膝 から飛び上がるのととに45人一緒に 立ち上がってき た宿の中は急に活気で揺れ上がっ た何かがわっと溢れ出したようであっ た宿の主人主婦と中年の女中も仲間に入っ て魚や野菜が広げられ炉にもかにも火が 炊かれ た元気のいい叫びや笑い声が絶え間なしに 起こり女たちは必要もないのに キャーキャー行ったり人の背中を叩いたり し た旦那はどうか座っておくん なさいは異に行っ たこっちは私どもでやりますから頂いた上 にそんなことまでおさせ申しちゃすみませ ん支度ができたら呼ぶからなどと懇願する ように言ったが異は一向に承知せず時々妻 のいる小部屋の方をチラチラ見やりながら 不器用な動作でしきりに活躍し た説教のじいさんは少し風気味であるが 特に責任を感じたという風で誰よりも熱心 に本してい たどうやら用意が整う頃には黄昏れの濃く なった部屋に主人の行為で8件の明りが 灯されアドも見所に出され たさあ男の人たちは旦那とご一緒に座って くださいあとはもう運ぶだけだ から女たちはこう言って咳き立て たうちのにお看板をさせちゃだめですよカ のつく前に飲んじまいますから
ねすると脇にいた女がそれではお前さんの 神鍋はいつも温まる暇がないだろうなど 言いキャーと笑いの知り合っ た異は宿の主人夫婦と並んで座っ た男たちもそれぞれに席を取っ た路にかけた大きな鍋には間どっくりが 78本も立っていて前が運ばれると宿の 女中がそれをみんなの前に配っ たそして賑やかな主演が始まったどうです かずらりっと魚が並んでどっしりとこう チョコを持った形なんてもは合成なもの じゃありませんか久保様にでもなったよう な心持ちです ぜあんまりきどんなさんな後ろへ ひっくり返ると危ねえ から異はしくりの目で彼らを眺めながら いかにも嬉しそうにグイグイ飲んでい た久しく飢えていたところでみんな立ちに よいボ線が持ち出され歌がが始まり踊り出 ものも出てき たまるで夢みてえだ なあ鏡時の部兵という男がつくづくと言っ たこんなことが念に一ぺや3年にぺでも いいこういう楽しみがあると分かってい たら大抵な苦労は我慢していけるんだか なそしてため息をつくのがガヤガヤ騒ぎの 中からポツンと聞こえ た異はちょっと目をつりそれからどこかを 刺されてもしたようにぎゅっと眉をしかめ ながら酒を煽っ たこういうところへあの女が帰ってき たいつもは夜半すぎになるのに客が取れ なかったものかどうか青ざめたような尖っ た顔でどへ入ってきてこのあ様を見るとに 取られ濡れた髪を吹こうとした手をその まま棒立ちになっ たこれを初めに見つけたのはげさの女房で ある子供が度々アメ玉などをもらうので中 では女と親しくしていたがその時は酔って 昼間の出来事をつい忘れたと見えおやおく さんのお姉さんお帰りなさい今みさんの 旦那のお風前でこの通りなんですよじゃあ 姉さんも早く上がっ てこう言いかけた時説教節のじいさんが 飛び上がって叫んだおお帰ったなよたま 上がってこい飯を返してやるからここへ来 やがれ中風気味で多少は下がもれるけれど その声は素晴らしく高く目はギラギラして いたし体全体が震え たみんなは黙っ た歌も写せもぴたりと止めて一斉に女の方 へ振り向い た人を盗ったらなんて抜かしあがっ てじいさんは死にそうな声で続けたてめえ は何様
だか年のこと さがれこの通り食わずに取っておいたんだ さあまあ見やがれもってけつ かれまあ待ってくださいそう言わないでま とにかく イが立ってじいさんをなめ た人には間違いということがありますから ねあの人も悲しいんですよ人間はみんなお 互いに悲しいんですからもう勘弁して 仲直りをしましょう 彼はしどろもどろなことを言ってどにいる 女の方へ呼びかけ たあなたもどうぞなんでもないんですから どうぞこっちへ来て座ってください何も ありませんけれど皆さんと気持ちよく一口 やってください全てお互いなんです からおいでなさい よ宿の主婦も口を添え た旦那がんだからここへ来てご思想にお なんなさい な続いてみんなが進めた酒の機嫌ばかりで なくこの人たちは喜びや楽しみを独占する ことができないので あるたしのげさの女房が立っていき手を 取って女を連れてき た彼女はつんとすました顔で座りギリで 飲んでやるんだという風に黙って反り返っ て逆月を取ったさあ賑やかにやり ましょう異は大きな声で言っ た天がびっくりしてこの雨をしまい込む ようにさあ1つみんな でそしてまた騒ぎが始まると異はようやく 勇気が出た様子で自分の前にある善を持っ て立ち妻のいる三条へ入っていったおは足 のちんばな小机に向かって手作りの正面に 日記を描いてい た長い放浪の年月それだけが楽しみのよう に欠かさずつけてきた日記で ある薄暗い安土の光をそばへ寄せて前鏡に 机へ向かっている妻の姿を見ると異は前を 置いてそこへ座りきちんと膝を揃えて辞儀 をし たすみません勘弁して くださいおは静かに振り返っ た唇には微傷を浮かべているが目は明らか に怒ってい た駆けし合いをなさいましたの ね正直に言います掛け合いをしまし たイはまたお辞儀をし たどうにもやりきれなかったもんだから あんなことを聞くと悲しくてどうしたって 知らんかをしてはいられませんからね とにかくみんな困っているし雨は止まない しどんな気持ちかと思うともうじっとして いられなかったん
です掛け試合はもう決してなさらない約束 でした わそうですもちろん ですしかしこれは自分の幸福のためだけ じゃないんですからね私はえ私もそれは 少しは飲んだですけれども少しよりは いくらか多いかもしれませんけれど もみんなあんなに喜んでいるんだ しそしてもう一度彼は辞儀をし たこの通りです勘弁してくださいもう 決してしませんからそしてどうかこれを弁 する証拠に一橋ほんの一橋でいいです からおえは悲しそうに微しながら筆を置い て立ち上がっ た 3ある朝まだ暗いうちに異は古い身を借り 釣り竿とビクを持って宿を出 た城下町の方へ山頂ばかりたとに川という 川がありこの近所でのあの釣り場と言われ てい た彼も宿の主人に教えられて2度ばかり 出かけ小さなのを56日あげたことがある がその朝はどうやら釣りが目的ではなく宿 から逃げ出すために出かけたようであっ た彼はへこたれてしげた顔で時々差も たまらないというように首を振りため息を つい た足を渡ってすぐ左へ包の上を2丁ばかり も行くと日に神木のしったところが ある前に来た場所であるがそこでちょっと 立ち止まってまたフラフラ歩き出し包みを 降りて松林市の中へ入っていっ たああ もう7年になるん だ ああ林の中は松の若葉が匂ってい た傘へ大粒の甘だれがパラパラと落ち た俺は構わないとしておえはどんな気持ち でいるかということ だろうそれをうまいようなことを言ってを 破って掛け合いなどして ああ包めたところ自分が飲みたかったの でしょうそうでしょう下なめ釣りをして 出かけたじゃないかいいと嬉しそう にイは首を縮めぎゅっと目をつっ た三沢の家は松平生神に使えて代々250 国を取ってい た父は兵助といい彼はその1人息子で幼い 頃ひどく体が弱かったため総感じという全 寺へ預けられ た住職の玄和という人に大そを愛され 大きくなってからもずっと往来が耐え なかっ た体と同じように性質も弱気で引っ込み 事案のないばかりいる子だったが尚の巧み
な教育のおかげ だろう重死後になるとすっかり変わって体 も健康になり気質も明るく積極的になっ た石中にひやり歌ずば出 ずこれが玄和の口癖であったがイはこの 言葉を守り本尊のようにしていた学問でも 芸でも困難なところへぶつかるとこれを じっと 考える石の中に火がある打たなければ出 ないどのように打つかさあどう打ったら 石中の日をはせることができるか さあこんな具合に工夫するので あるするとバチとはかないが大抵の場合の 道がつい た学問は趣旨用命老師にまで及び武芸は 東方から槍名弓柔術棒魔術水練とものにし てしかもみんな類いのないところまで上達 し たでは異はぐんぐん出世したろう かい全く逆であっ た彼はそのために主を浪人しなければなら なかっ た理由は2つあるよう だ1つは彼の腕前が桁外れになったこと もう1つは彼の気質で ある適用すると堅実でも充実でも極めて無 作意であって部類に 強い21歳の頃にはその道の市販ですら 相手にならなくなったが格別に人規な手法 労するわけではなくごく簡単にまさかと 思うほどあっけなく勝負がついて しまう石中の火を打ち出す 一点つまり彼がその一点を見い出した時 勝敗が定まるというので あるしかしそれがあまりに無でに単純明解 であるため塔の相手は引っ込みがつかなく なるし見ている人たちはしらけた気持ちに なるし彼自身は照れるという結果になっ た父の兵助が死に彼は24歳で家相続をし た同時に同じ家中のクレ松から嫁を迎えた がこれがおであるがまもなく母親も父の後 をなくなるとにわかに彼はいづらいような 気持ちにからられだし た玄和のおかげで随分積極的にはなった ものの本性までは変わらないと見え自分の 腕前が強くなるのと反比例して性質は いよいよ物優しく謙遜乳になっていっ た勝って奢らないのは美徳かもしれない がはつ旅に照れたりすまなかったり する本気になってすがり照れるので相手は ますます引っ込みがつかない周囲のものも なんとなくさっぱりしないしそこで彼自身 は悪いことでもしたような気分に なるこういうことが重なっていきだんだん に気まずく
なり直接には反の市販たちの作動も少しは あったがついに自ら糸を願って耐震し たこれだけの心があるのだいそ誰も知らぬ 土地へ行って新しく主観する方が双方の ために安泰 だろうおとも相談し承諾を得て旅に出たの で あるしかし行けなかった機会はあった けれどもさて義量試しの試合をするとなる とに具合が 悪いその土地その班の市販または無敵と評 のあるものを例のようにごく簡単に任して しまうするとあまりのあけなさに小がしけ てなんとなく感情がこじれたようになり 腕前は褒められるが主観の話はまとまら ないという結果になっ たこんなはずはないこれだけの実力がある のにどこが悪いの だろう彼は反省もし熟慮もし悩みもした 2度か3度はうまくいったこともあるだが そうなるとまた別の故障が起こっ た自分に負けて食を失う相手が気の毒に なるとか相手に泣き言を言われる事実どう か観を辞退してもらい たい自分が今失職すると祭祀を路頭に迷わ せなければならないからと愛されたことも あるといった具合でそうなると彼としては 恐縮し並行しこちらから謝って身を引くと いうことになるのであっ た鹿を去る時はかなりな旅費を持っていた が3年目にはそれもなくなりなく道場など で掛け合いをするようになっ たこれは断然うまくいった向こうが応じて くれさえすれば間違いなく勝つし時には 莫大な金になることもあっ たしかしやがて妻に気づかれ泣いていめ られ今後は絶対にしないという誓をさせ られたので ある言うまでもない立ち白 た私も手食くらいいたしますからどうか 焦らずに自説をお待ち遊ばせおえはそう 言い始め た彼女は950国の純郎職の家に生まれ 豊かにのびのびと育っ たそれが慣れない放浪の旅の苦労で体も 弱りすっかり操れてしまっ た異はその姿を見るだけでも息が詰まり そうに なる見えをしたいほど哀れになるので内食 などと聞くと震え上がって拒絶した とんでもないそれだけは謝って代わりに彼 自身が一問飽きないを考え た飽きないと言っても決まったものでは ない矢とかとびうさぎとか たんぼ
笛などごく単純なガグを自分で作ったのや 季節と場所によっては小やかに帰るなどと いう生き物を取ってもっぱら小さな子供 相手に売るので ある止まる宿も次第に格が下がっていつ か知らんきちん宿にも慣れ たもも彼は子供が好きなのでそんな空も 決して愉快ではないし宿の客たちも例外は あるが中木で人情に熱くまたお互いが落し ているという共通の至りもあっていかにも 気やすく付き合うことができ たそれが身についてしまったのだ 情けな情けなと思いませんか 異彼はベソをかきため息をし た気がつくと松林市の中に立ち止まった ままでしりに傘を甘だれが叩いてい たもうそろそろ本気にならなければいくら なんでもおたがかわいそうじゃないかおた がどんな気持ちでいるかということを考え たらそうでしょうそうだろう えへ彼はふと脇の方へ振り向い たそそっちの方で人声がし始めたからで ある見ると松林市のすぐ向こうの草原に 45人の侍たちが集まって何か話してい た身の傘を着て釣り竿を持ってこんな ところにぼんやり佇んでいる格好を 見つかったら 恥ずかしい急いで歩き出そうとしたがそこ でまた振り返っ た何か悪声がしたと思ったら侍たちが ギリギリと刀を抜いたので あるああ行け ない異はびっくりし たそしてそれが1人の若者を5人が 取り巻いているのだと分かると我知らず 釣り道具を投げ出し松林の中からそっちへ 駆け出していっ たおやめなさいやめてく なさい彼はそう叫びながら手を振っ た 4小の中で彼らは皆結そ変えすごいほど 興奮しほとんど逆上してい たどうかやめてください待って ください異はそばへ駆け寄って両方を手で 抑えるような格好をしていっ た怪我をしたら危ないですからそんなもの を振り回すなんて権能なことはやめて くださいどうか皆 さんさがれげろ やかまし取り巻いている方の1人がわめい た余計な差し出口をすると己れから先に 切ってしまう ぞそれはそうでしょうけれどもとにかく まだ言うかこの ゲロまあ危ないそんな乱暴な
あ逆上している1人が脅かしだろうけれど 刀を振り上げて向かってき たイはどうかわしたものか相手の利き腕を 掴み彼らの真ん中へ割って入り ながらお願いしますわけは知りませんが やめてくださいつまらないですからどう か利き腕を掴まれた侍はジタバタするが どうしても異の手から逃れることができ ないこれを見て連れの4人は怒っ て下ろから先に 片付けろこう叫んでこれまた刀をひらめ かして向かってき た異は困って横へよけよしてください そんなあ危ないそれだけはどうかとにかく ここは あ手を振り辞儀をし懇願しながら右に左に 飛んだり避けたり回り込んだりなんとも 目し活躍しみるみるうちに5人の手から刀 を奪い取りそれを両手で一まとめにして頭 の上へ高く上げ ながらどうか許してください失礼はお詫び しますこの通りですからどうか ひとまずなどと言いいい逃げ回っ たこれより少し前松林とは反対側にある道 へ3人の侍が馬を乗り付けてきてこの場の 様子を眺めてい たそうして逃げ回る異を5人のもの が刀を 返せとかこのれも待て げろなどとわめきながら追い回すのを見て 初めて馬を降りその中の2人がこっちへ 近寄ってき た静まれ見苦しい ぞ四重五6になる超えた侍がよく通る重み のある声で静止し た果し合いはごハットである控えろ 老色である ぞもう1人が怒鳴っ た皆静まれ子老しのおいでである ぞよほど異言のある人と見えこの一言で みんなハットし素直に相当を辞め た五老しと言われたその中年の侍はぐと彼 らを睨みつけすぐに異の方へ来 たどなたかは知らないがよくめくだすっ た私は東販の青山手前と申すもの熱くお礼 を申し上げ ますはいやとんでも ないもちろん差し上げていた刀は下ろして いたが彼は霊によって恐縮し赤くなっ た帰って私こそ失礼なことをいたしまして 皆さんをすっかり怒らせてしまいまし て血気に流行る馬鹿者 どもさぞご少子でございましたろう失礼 ながら底本は は三沢兵と申しまして浪人者でございまし
て向こうの川へ釣りに参ったのですが こちらが危ない模様だったものですから つい知らずそのこういうこと ににでいらっしゃるかおいの松林という いやとんでもないどうかあれです私のこと など決してお気になさらないようにほんの 何しただけです から彼は刀をそへ置きお辞儀をしながら 交代し たどうかお構いなく妻が待っておりますし 借りた釣り竿も放り出したままですし失礼 し ます そして急いでそこを去っ た釣り竿もビクも元のところにあっ たもう釣りをする気にもなれないのでそれ らを拾い上げるとがっかりしたような 気持ちで木につい た果たし合いだなんて危ないことをする もの だ歩きながら彼は呟いた親兄弟祭祀のいる ものもあるだろうにつまらない意地とか 武士の面木とかいうこと でしょうしかし失敗だったです な頭の上へ刀を5本両手で差し上げて謝り ながら逃げ回ったというのは我れながら 浅ましいしかもそれを見られたのだから うイは首を縮めてうめい た 宿へ帰ったがすることがなかっ た空ない用のガグも余るほど作ってあるし もっと作るにしても材料を買う銭にが宿賃 があるので心配だっ たふざけをした翌日でしりに飲みたい誘惑 もあるしょうがないので朝昼検体の食事を して寝てしまっ た眠の中で彼は素晴らしい夢を見たどこか の阪がケを大勢連れてきて是非とも 召し抱えたいというので あるまた気まずいことになりますからと彼 は辞退し た阪は是非ぜひと譲らず食欲は戦国出すと 言っ た戦国となると話は別である彼は胸が ドキドキしいよいよ自説が来たかと思って 夢のような幸福な気分に満たされたその時 妻に起こされ たお客様でござい ます3度目くらいに彼は目を覚まし たそしてやっぱり夢だったかと少なからず がっかりしたが客は半中の侍だと聞いて 今度はと目が覚め た侍ですってそれはえすぐ出ますちょっと 顔だけ洗っ てイは裏へ飛び出していっ
た客はあの草原へ馬を乗り付けた1人で五 老しであるぞと号令をかけた男だっ た年は34号名は牛を第6というそうで この安宿には並行したらしくどに立った まま要件を述べ たようやくすると今朝の例に一散献じたい しまた話したいこともあるから青山手前卓 まで是非来てもらいたいというのであっ た異はワクワクしたまゆかもしれない全長 ということも軽蔑はでき ないよけ堂々するがたしてあるからという ので待ってもらって支度をし たどういう御用でございますかどこでお 知り合いになった方です かおえは心配そうに聞い た彼は失望させたくなかったので詳しい ことは帰って話すといい古くはあるが月の 衣服に墓をつけてぶりに大償をさし 同者たちのいかしさと羨ましげな目に送ら れながら牛大六と共に出ていっ た 5青山邸では思考のモテなしを受けた愛着 はなく手前と2人だけで林という若い歌詞 が救助をし た老というがどのくらいの身分であるか 随分広大な構えだし客間から見える中庭の 樹石も尋常よりは凝ったもののようであっ た手前は朝の出来事には触れず霊を述べる とすぐに異の主を褒めだし た実は道から拝見していたのだが彼らも 相当に腕自慢なのだがまるで子供のように われたのには一教でした失礼だがご流儀は はあ小葉とバトやりましたしかしもちろん まだ未熟でし て無用なご謙遜はおいてそれだけのお腕前 を持ちながら浪人しておられるには何か彩 のあることと思うがもし差してえなければ お話しくださらぬ かそれはもう彩というほどのこ話まるでお 笑い草のようなものですが 異は身の上の荒まを話し た習慣として旧主家の名はそれとは言わ ないほのめかす程度で相手も納得するわけ であるが彼の話ぶりの健常さが内容の不 明確さを補ったと見え浪人した理由もその 後の人間がうまくいかなかったわけも自然 にはおよそ理解がついたようであった そういうこともありそうです なあ うん私などにはおかしく思われるご勝文が 他の場合にはかって邪魔になる回りあわせ というかうふんというか宿命という か手前は何やら言って頷い てでは憲法の他にも急場日やなどもご堪能 なわけですな堪能などとはとんでもない
申し上げた通り誠に骨なものでございまし ていや分かりました打ち明けて言うと こんな早急にお招きしたのは私の方にも1 つお願いがあるの ですつまりもう一度ここで腕を見せて もらいたい実はそのために相手をするもの を3人待たせてあるというのであっ たその時はもうかなり酒が入っていた自然 が意識的に飲ませたようでもあるが異は どちらかと言うと少し酔っている方がいい ので無論快活に承知し たよろしかったらただ今でも結構 ですではご迷惑でもあろう が然が声をかけると牛大六が来た次の間に いた らしいあちらの用意を聞いてまれと言われ 下がっていったがすぐに用意のできている ことを含めし た案内されたのは道場であったこの家に ついて建てられたもので重の廊下を 二上がりしたところにあり小さいながらも 作りも正式だし控え部屋もある模様だっ た手前の後から異が入っていくとその控え の方からも3人こちらと間を合わせるよう に出てき ただがどうしたことかその3人の中の1人 は異の姿を見るとぎょっとし連れのもに 何事か言うとそのまま控え部屋へ引き返し てしまっ た異は別に気にも止めず住へ行って袴の桃 を絞り大の持ってきたの中からよく笑みも せずに1本取った八巻もたきもしないので ある向こうでも1人が支度をしやや長い 木刀を持って自然に何か囁いてい た278になる小柄な青年で色の黒い性感 そうな顔に白い歯が際立って見え たやがて手前の紹介で2人は愛たした青年 は原田十兵衛というそうで異の構を見ると にやっと微傷し た腰の伸びた間抜けたような構えが おかしかった らしい異はそうとも知らず目を細くして 微笑み返しおまけにひょいと辞儀をしたの で原田青年は危うく失笑しそうになっ た無論失ししはしないつくも我慢したが 大いに気は楽になったらしく積極的に 掛け声をあげて仕切りに投資の盛んな ところを示し たイの構えはずんべらボとしたものだった まるっきり捕まえどころがないたくましく 熱い肩を少し前かにして木刀を前へ 突き出してしくりの目で物優しげに相手を 眺めている うっかりするとにらめっこでも始めそうな 格好だっ
た原田青年が鋭く叫び非常な勢いで体ごと 打ち込ん だ小柄な体がつぶの飛ぶように見えたが異 はただつま先で立って木刀をすっと頭上へ あげただけで ある原田青年はすっ飛んでいって道場の 羽板へ頭で持って当たり1人で跳ね返って ぶっ倒れてだがすぐ半身を起こして ちょっと考えてまったと叫ん だどうもすみませ ん異は恐縮そうにお辞儀をし た失礼いたしまし た次は鍋山マタ五郎という36室の男で これはおそらく市販役であろう静かな目に ななならぬ光があり態度も沈着で好のない 落ち着きを見せてい た少し荒いかもしれませ ん鍋山は平成な声でそう言っ たどうかそのおつもり ではどうか何分 よろしくイは気軽く辞儀をし前と同じ構え で前と同じように物優しく相手を見 た鍋山は左の足をぐっと引いて半身になり 木刀の先を床につくほど下げ地星眼とでも 言うのかすごみのある構えでじんわりと異 の目に見入っ た今度は少し暇がかかっ たも黙っているしびくっとも動かないただ 異がずんべらぼうとしているのに鍋山の体 は次第に正規が満ちその眼光はさきをさえ 帯びてくるようであっ たそうしてかなりの時間が経つうちに鍋山 の木刀の先はゆっくりと目に見えぬくらい 緩慢な動きで少しずつ少しずつ擦り上げ いつかしらやや低めの星眼に変わっ た木は熟したようだ緊張は頂点に達し まさに火花が発するかと思え たその時異の木刀が動いて相手の木刀を ひょいと叩いたごく軽く冗談のように ひょいと叩いたのであるが相手の刀は先端 を下に向けて落ちバキッといった風な音を 立てて床板に突きたっ たあこれはどう もイはうたえて頭に手を やりどうもこれはとんだことをいたしまし た大事な道場へ傷をつけてしまいまして これは何ともどう もそして突きたった木刀を抜いて穴の開い た床をすまなそうに撫で た鍋山又五郎は猛然と立ったままだっ た 6異は日が暮れてから宿へ帰った大変上 期限で酒に赤くなった顔をニコニコさせて これは頂いた土産だと大きな歌の檻を妻に 渡し
たをいてくれるだろうと思ったんだけれど あまり熱心に進められるのでつい遅くなっ てね ええ彼は着替えをする間もウキウキと話し 続け たもっと早くほんのもう一時もすれば 帰れると思っていたんだが大変ご馳走に なったりしてそれに話もあったものです から ね脱いだものを片付けていたおタは着物の 多元からは紙包を見つけて不審そうに夫を 見たその重みと手触りで金だということが 分かったからであるああ忘れていた すっかり忘れていましたよそれは青山さん からもらいましたね午前上がるのに必要な 支度をするよう にって午前としちゃいます とおえは不安そうに聞き返し た それに今どなたかともおっしゃいました けれど私には何が何やら分かりません わそうそうそうですとも少し酔ってるん ですよえすまないが水を1杯 ください異は水を飲みながら話しだし た今度は調子が渋くなり言葉遣いもずっと 落ち着いてき た夫婦の間ではもうこと間の話は禁物の ようになってい たあまりに度重なる失敗でお互いが希望を 持つことを避けできるだけその問題に触れ ないようにしていたので ある初めは嬉しまれと酔った勢いでつい彼 ははしゃいでしまったが妻の顔色で ようやく冷静に帰り今日あったことを かいつまんでいかにもさりげなく語っ た ではおさ方と試合をなさいましたのですか いや2人ですよ1人は何か急に故障ができ たそうでその道場までは来たんだがしかし 本当はこの次の試合まで待たせたのかも しれませんね改めて常駐で正式にやること になったんです からおえは用人深諦めた顔つきで頷いた だけだっ たそれ はああまり期待なさらないようにと言い たいのである らしいイも無論と言った風 にどっちでもいいんだけれど向こうが せっかくそう言ってくれるんですからね それに支金で何か買えばそれだけ儲かるし いやいやとんでもないこれは冗談です よこう言ってからちょっと込ん でだがともかく青山という人はらしいこれ までのこともすっかり話しましたがねその
理解のしてくれ方がまるで違うんですよ ええ他の人間とは桁違いなんですおまけに 幸運というかどうかちょうど殿様の教育 がかりを探しているんだそうで弓とか槍と か上場なども一流のものが欲しい体操武芸 に熱心なとそなんだそうでもちろんそれだ からと言って喜びはしませんがええ しかし今度はどうやら まあなんとか今度はという気がするんです よそれではもうお湯気は召し上がらぬので ございます かおはさげなく話をそらし た夫の気持ちに巻き込まれない話だけで 信用してはいけないこう自分を抑えている 様子が異にはいかにも哀れに思えるので あった 翌日もやはり雨が降っていたが彼は城下町 まで行って出合いの上しや花袋やセス旅 履き物などを買いかなり金がるので妻の ためにかざしを買っ たお便り物を買うなんて久方ぶりだ な多少いい心持ちになったが道へ出歩き 出すと霊のどこか刺されでもしたような 表情でぎゅっと眉をしかめ た冗談じゃ ないぶりどころか妻のために物を買うなど ということは初めてで ある結婚して8年半彼女が実家から持って きたものは全て売ってしまった松田を耐震 する時にはまだ小さな道具類は持っていた がそれも放浪中に残らず売ってしまっ たしかもこちらから買ってやったものは1 つもないので ある彼はしげてため息をつい たそれから急に顔をあげ喧嘩でも売るよう な具合 にだが今度はまさ目ですから ねこをつぶやいて天を睨めつけた 使いの来るすぐ前に前兆もありあらゆる 条件が揃ってるんだからそれにもう そろそろ いくらなんでもそろそろ自説が来てもいい 頃だ よ異は元気に雨の中を歩き出し たそれから5日目に突然雨が上がった前の 晩の夜までそんな煙りさえなく無限のよう にひしと降っていたのが開けてみると カラっと晴れてそれこそ抜けるような青空 にキラキラと火が照ってい た上がった ぞ雨が上がったぞ天気になった ぞ同宿者たちの1人1人が空を見上げては そう叫ん だ生活を取り戻したものの素朴なそして まさににような声であっ
たそして異のとろへも手前から死者が来た 途上の支度で来いというので ある素晴らしい緊張ですねこれ はイはニコニコしながらそう言いかけたが 妻の諦めた顔を見ると慌て て私の方はなんだけれどもみんな初会賞も 振り込められていたんだからね これでみんな救われますよ えあの喜びをご覧なさい私たちまで嬉しく なってしまう でしょう私も出発の支度をしておきます わそうですね そう彼はちょっと妻を見 てしかし今日というわけにはいかないです よ帰りが遅くなるかもしれませんから ね旅を先にお召し遊ばせ おはやはりさりげなく話をそらし た 7異は午後遅く日の傾く頃に帰ってき た守備は上場だったのだろう込み上げて くる嬉しさを懸命に抑えているが抑えても 抑えても込み上げてくるので我れながら 始末に困るといった風な不安な渋い顔をし てい た帰りに青山さんへ寄ったものだ から彼はこう言って大きな包みを底へ置い た祝いにどうしても一散ということで もちろん今日は辞退したけれども寄らない のも失礼ですからねこれは殿様からの 引き物 です家紋を打った髪に包まれた包みが2 つおはドキッとした様子であるがすぐ平成 に帰ってそっと押しいだいて隅へ片付け た今日は1つ飲ませて くださいイは上しを脱ぎながら言ったはい かしこまりまし たおえもその返事だけは明るかっ た大体としてこういう安宿には風呂はない 彼は10丁ばかり西の宿にある先頭へ行っ てきてそれからつましい酒の前に向かった おたえは休をしながら同宿者の誰それと 誰それが出発したこと誰それと誰それは 明日立つこと出発した人々の伝言やお互い に泣きあったことなどをしみじみとした 口ぶりで珍しく多弁に語っ たいう宿へ泊まる方たちとは随分たくさん お近づきになりましたけれど皆さん優しい いい方ばかりでしたわね自分の暮らしさ 満足でないのにいつも他人のことを心配し たり他人の不幸に心から泣いたりわずかな ものを趣味もなく分けたり他の世間の人 たちとはまるで違って悲しいほど思いやり の深い温かな人たちばかりでした わ貧しいものはお互いが頼りですからね 自分の欲を張ってはきにくいというわけ
だろう ね説教節のおじいさんはこう言っておいで でしたもう目にはかかれませんがどこへ 行っても2人のご飯盛を祈っており ますおたはそっと目を伏せ たそれから涙を吹いてこの間のことは死ぬ まで忘れませんあんなにありがたい嬉しい ことは生まれてきて初めてだった世の中は いいものだということをこの年になって 初めて知りまし たって私胸が詰まってしまいまし たもうよしましょう私にはそういうおたの 方がもっと悲しい辛いです からイはしぼんだ顔になりそれから急に 浮き立つように言っ たしかしもうこれもおしまいですと言って もいいと思うんだが実は今日は食6の高 までほぼ内定したんで ねこの前にも一度いや今日は違うんですよ 堅実もやったし弓はゴスの的を28件まで 伸ばしたし馬は木曾さんの青でまだ乗った ものがないという看板をこなしましたがね それはそれとして話は別なん です阪は長石で品野の神熱といいまだ四を して間のないの若さだったが体操武芸に 熱心でありまた大いに反省改革をやろうと いう心身帰依の人であっ たそして異の義量を見て是非当家に使える ようにと言ったがそれは前任者を配して 召しかえるのではなく新たに一増をすると いうのであっ たそれだからと言って絶対だとは無論思い はしないけれども とにかく今度はねそこまで疑うというのも ねそれはそうでございますと もおたはそらすように頷い たお代わりをつけましょうかお食事に なさいます かそうだねそう食事にし ましょう久しぶりで十分に腕試しをして彼 の全身は爽快な疲れと満足に溢れていた その上観の望みはく通り確実であるこれ までの例があるから妻は信じようとしない しできるだけそのことに触れたくないよう であるが異としてはそれが哀れでありどう かして断言はせずに少しでも安心させて やりたいと願わずにはいられなかっ たあくる日は同宿者のうちから3人出して いった高しのげさの女房は背負った子供を 売り上げし ながらもう目にかかれませんわねどうか 2人ともお大事になせてくださいましよご 出世をなさるようにお祈り申しております からね本当に色々とご親切にしていただい てお世話様でございました
よこう言って袖口で涙を吹いた 皆さんが決まってもう目にかかれないと おっしゃるの ねおが後で言っ たこれまでも決まったようにそう おっしゃいました わどうしてまたいつか会いたいと おっしゃらないのでしょう かイはさあねと言ってうえたように目を そらし たあの人たちには今日しかない自分自身の 明日のことがわからない今一緒にいること は信じられるがまた会えるという望みは 持つことができないので あるそれは旅を渡る彼らに限ったことでは ない人間は 全てこんな風な締めっぽい感想が浮かんだ からであっ た夕方になると新たな客が5人来た中には 猿回しがいて夕食の後で猿に芸をさせて みせ自分でも諸国の珍しいひな歌など歌っ た同宿者たちは大いに喜んだが猿回しが 頃合いを見計らってみんなが少しお長目を 弾んでくれればこれから猿に寝言を踊らせ て見せると言うと彼らは未練なくそこを 離れて居所へ戻ってしまっ たその翌朝 食事を済ませるとまもなくおは荷物を 片付け始め た今日はいいおひよりでございます わ何かを包みながら独り言のように彼女は そう言っ た少し雲があるくらいな日でもあの峠は よく雨が降るそうですからコスなら今日の ような日がいいと言います わ 8 そう実に今日はよく晴れ たイは話をそらすように低いひごに空を 見上げ貧乏ゆすりをしまた空を見上げ そして立ち上がっ たお出かけなさいます のいや出かけはしないちょっと その彼は宿の外へ出て落ち着かない目つき で城下町の方を眺めあっ たかなりイライラしているらしいふと そっちへ歩き出しそうにして思い返して 短い吐息をつい たその時後ろでいきなりててんててんと 太鼓の音がしたあまり突然だったので彼は びっっくりして横へ飛びのい たおはようござい円満大吉で ござい猿回しであっ たどこかしら歪んだしなびたような体つき の不自然に陽気なその猿回しはそんな挨拶
をして猿を背中に止まらせ太鼓を叩き ながら足早に城下町の方へ去っていっ た天気は申し分なしですが ね小部屋へ戻ってしばらくして伊平がそう 言っ たともかくまだ2日目だし先方でもなんと か言ってくるだろうしね黙って立つという わけにもいかないと思うんだ がそうでございますわねでも私支度だけは しておきます わそれはそうですともどっちにしてもここ は出ていくんだ からイはドキリとして調して言うとカマキ のように首をあげた馬の日の音が宿の前で 止まったのであるお便も聞きつけたの だろうこれもハットしたようだったがすぐ 我に帰って包み物を続け た異は立って門を直しできるだけ落ち着い た口ぶりで来たようだ ねながら出ていっ たちょうどどへ牛大六が入ってくるところ だっ た異はドキドキする胸を抑えできる限り 平成をよい優しく微傷しながら上がり花 まで出迎え たいやここで失礼し ます牛大六は多少いしそうに汚らしい家の 中を見回してこの前の時よりずっと霧工場 で言っ た自然が申しますには誠に稀なる武芸者 その類のないお腕前といい後前なるご思想 といい六高に関わらず是非ご水信が願い たいまた犯行に置かれましても特にご熱心 のように生されまし ていやそんなそれは過分なお言葉です私は そんな第で方としてはすにお召し抱えと 決定しかかったのですがそこに思わぬ故障 が起こったの です異は息を飲み地面が揺れ出すように 感じてぐっと膝をつかん だ故障と言っても東方のことではなく責任 は底本から出たのですが第6は冷やかに 続け たそれはあなたが駆けをなすった町の猿 道場において金子をかけて勝負をし勝って その金子を取って行かれたもちろんご記憶 でござい ましょうイはかじて頷い たそしていつか青山家の道場で相手の3人 のうち1人が彼を見るなり逃げ出したこと を思い出し た確かに覚えております覚えております けれど も異はおろおろ とそれは実は誠に気の毒なものがおりまし
てこの宿にいた客なんですが理由の遺憾に 関わらず武士として掛け合いをするのだと いうことは譜面僕の第一であるしそれを 訴えでたものがある以上東方としては手を 引かざるは得ません残念ながらこの話は なかったものと思いくださるよう に牛大六は白線の上に紙包を乗せそれを異 の前に置きながら行った手前が申しますに は多少ながらこれを旅費の足しにでもお 受けくださるようとのことでございました いやとんでもない こんなイは泣くような顔で手を振っ たこんな心配はどうか色々頂いていること でもありどうかこんないえありがたく頂戴 いたし ますこう言いながらおたが来て夫の脇に 座っ た異は老廃したか大六も驚いてあやふやに 頭を下げて何か言おうとし たしかしおたはその隙を与えなかっ たいくらか興奮はしているがしっかりとし た調子でハキハキと次のように行っ た主人が駆け試合をいたしましたのは悪う ございました私も金々それだけはやめて くださるようにと願っていたのでござい ますけれどもそれが間違いだったという ことが私には初めてわかりました主人も 掛け合いが不真面目だということぐらい 知っていたと思います知っていながら病む に止まれないそうせずにいられない場合が あるの です私ようやくわかりまし た主人ので大勢の人がどんなに喜んだか どんなに救われた気持ちになったかおやめ なさいよ太よ失礼ですからはいやめ ますそしてあなたにだけ申し上げます わおは 向き直り声をふわせていっ たこれからはあなたがお望みなさる時に いつでも掛け合いはなせてください そして周りの者みんな貧しい頼りのない 気の毒な方たちを喜ばせてあげてください まし彼女の言葉はおえのために消え た牛第6は撃し具合悪そうに交代しそこで なんとなく辞儀をしてひりと外へ去って いっ た時刻は中途半端になったがりをつつける という気持ちで2人はまもなく宿を出発し たあの晩の米も余っていたが手前のくれた 金も切断して宿の主人に預けまた長めの時 や困っている客があったら世話をしてやっ てくれるようにと頼んで夫婦がわらじを 履いているとあのオさんという女がやって き た病的に痩せて尖った顔を愛そ笑いらしい
惨めに引きつらせ ながらご心臓さんこれ持ってって くださいと落体の古びのを山頂底へ出し たわらじに食われた時つつけるといいん ですよタバコの肺なんですけどね唾で練っ てつつけるとよく聞きます よもっといいお選別をしたいんだけどそう 思うばかしてね つまらないもんだ けど ええ嬉しいわ ありがとうおは親しい口ぶりで霊を言い 本当に嬉しそうにそれを懐へ入れ た宿の人たちに追いの宿外れまで送られ そこから右へ曲がって峠へ向かっ たイはなかなか落胆から抜けられない らしい おえはしいて慰めようとは思わなかっ たこれだけ立派な腕を持ちながらその力で 出世することができないなんという妙な 巡り合わせ でしょうなんというおかしな世間なの でしょう彼女はそう思う一方ふと美称を 誘われるのであっ たでも私このままでもようございます は他人を押しのけず他人の席を奪わず 貧しいけれど真実な方たちに混じって機械 さえあればみんなに喜びやなみをお与え なさるこのままのあなたもご立派です わこう言いたい気持ちでしかし口には出さ ず時々そっと夫の顔を盗みみながらおたえ は軽い足取りで歩いていっ た 異も次第に気を取り直していくようだっ た失望することには慣れているし感情の 向きを変えることも習慣でうまくなって いるただ妻の思惑を考えてそう急に機嫌を 直すわけにはいかないと言った風であっ ただがその遠慮さえつい忘れる時が来た峠 の上へ出て幕でも切って落としたように目 の下に突然隣国のサ夜が打ち爽やかな風が 吹き上げてくると彼はパッと顔を輝かして やあ やと叫び出し たやあこれはこれは素晴らしいごらんよ あれをなんて美しい眺め だろうまあ本当に本当に綺麗です ことどうです体中が痛み立ちますね ええ彼は丸い顔をニコニコと崩し少年の ように生き生きとした光でその目を いっぱいにし た早くもその千望の中に新しい生活と 新しい希望を空想し始めたと 見えるね元気を出してください元気になり ましょう
妻に向かって熱心にそう言っ たあそこに見えるのは1万5000国の 浄化ですよ土地は繁盛で有名だし何しろ 10万5000国ですからね1つ今度こそ と言ってもいいと思うんだが元気を出して 行き ましょう私元気です わおえは明るく笑ってわるように夫を 見上げながらたみに彼の口真似をし たと言ってもいいと思います わDET
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『雨あがる』は、逆境の中で自らの信念を貫き、困難に立ち向かう三沢伊兵衛とその妻おたよの物語です。連日続く雨と共に、伊兵衛の過去の賭け試合が原因で失われた仕官のチャンス。しかし、その失望を乗り越え、二人は新たな希望を胸に未来へと歩みを進めます。社会的な成功を求めることよりも、他人の幸せを自らの幸せとする伊兵衛たち。彼らの旅路は、美しい自然と心温まる人々の善意に彩られ、逆境の中でも変わらぬ優しさと希望を見出していきます。『雨あがる』は、一見しただけでは見えない人生の価値と美しさを、伊兵衛とおたよの絆を通じて描き出します。
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夜の帳(とばり)が下り、星が輝き始めたら、「眠りの森」が開かれます。
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おやすみ前の静かなひとときを過ごしてください。
今日も一日お疲れ様でした。
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