「彩虹」(にじ)山本周五郎【名作朗読】
山本 小五郎 虹人世も合わぬものならば二への帯をなぜ 解いたそれがゆかりの 立山顔のもみで知れたと や錆のあるというのだろうしめやかに 落ち着いた良い声で あるまどに腰をかけて柱に頭をてうっとり と夜空を眺めていた異は思わず大層なもの だなと呟い た彼の足元へ身を寄せるようにして色神で 張りまぜの手箱のようなものを作っていた さえ は何がでござい ますと目をあげたそういう表情をすると 不思議にに塩のある美しい目 だあの歌さ体操な声じゃない か本当に良いお声でございますわ和田様で ございます かそう だろう異は静かに頷い た小さい自分から何をやっても人の上に 出る男だったがあんな俗曲にもそれが出る んだ なさすがの蜂屋が根を潜めているじゃない かお顔が見えるようでございます ねさえはそう言ってククと笑っ たそれにしても今夜は皆様随分おしくして いらっしゃいますの ね八様だけでなく村野様も石岡様もまるで 浸透していらっしゃるではございません か脇田の帰国を祝う催しだから遠慮して いるの だろう異はそう言いながらその宴会の有様 がそのままとば班の近い将来を暗示する ものかもしれないということを考えた田は つい数日前江戸から来 た彼の父は衛門と言って6年前に死ぬまで 鳥羽班稲垣家の国ヶであっ た宗之助はその1人息子で幼い頃から ずば抜けた俊敏のさを持っていた16歳の 時阪津島の神手中に従って江戸へ行きも 法制の学をやっていたが今度25歳で国ヶ に就任するために帰国したのである宵は その帰国を迎えるために遊たち10人の ものが集って祝園を催したみんな256の 青年たちだし身分も労格のものばかりで そのうち5人は顧問官というべき年寄り役 かやがてその役を 置にあるものだっ た勝村異は筆頭年よりで宗之助とは最も 親しい給油でありこの祝園の主人役であっ たが宗之助のために酒を強られやや悪酔い をした形で少し息を入れに立ってきたの だった何か匂って
いる異はふと中庭の方へ振り返っ た何の花だ 梅でござい ましょうさえはそう言いながら立ってきた ああ長時でございます ね窓へ寄ってみると青春の温かい焼が表を なでむせるほど長時の鼻の香りが匂ってき た植込みのしみ越しに奥座敷の火が赤赤と 見え何か賑やかに笑い合う声が聞こえる この季節の習いで薄雲のかかった空にいざ 酔いのおぼろ月があっ たごめん遊ば せさえは自分の頭から串を抜き取ると丁寧 に髪で吹いてから異の瓶の毛をそっと撫で た20日のお祝いにはまたお座敷へお 呼ばれに上がります昨日わざわざ奥様から おをいだきまし た20日に何かあるのかまあお忘れで ございます かさえはおかしそうに首をかげ たあなた様のお誕生日ではございませんか 去年も呼ばれ申しましたわ母と一緒 にそう言っていた時廊下の向こうに慌しい 足音が起こりこちらはうちのものの部屋 ですからと女中の静止する声にかせてどけ どけ向こうから姿を見かけたのだという 宗之助の高声が聞こえ たさえは急いで串を自分の紙にさし取り ならしたものを片付けようとしたがそれ より早く廊下を踏み鳴らして宗之助がやっ てき た開けてある生子の前へ来て立った彼は 酔いのために少し青みを帯びた炭聖な顔で 異を見さえを見た上勢のある立派な体育と 眉の濃い一文字なりの口付きの目立つ 抜きん出た風貌で ある異からさえに移した彼の目は一瞬 キラキラと激しく光ったほうと彼は唇を壺 にし 遠慮にさえを見つめたまま単勝の声をあげ た美しい な中座をして済まなかったイはそう言い ながら立っていっ たなんともたまらなかったものだ からそんなことは構わないがもういいの か落ちついたようだと聞いて宗之助は微傷 したが急に身を開いて では庭でようと言ったイは相手の目を見 た宗之助は袴の紐を解きくるくると裸に なったひぶりでひもやろうどうするのだ 相撲だよ宗之助は挑むような目でこちらを 見 た酒では勝ったが力ではまだ負けるかも しれない あの頃はどうしても勝てなかったからな
さあ 来い酔っていては怪我をするそれは今度に 預かるじゃない か俺は裸になっているんだ恥を欠かせるの かこの突然の挑戦は単純なものではない異 の神経はそれを感じたそして袴の紐へ手を かけるのを見てさえが止に入ろうとしたが イは止めるなとで知らせ手早く裸になって 出ていっ た宗之助は色の白いしかしたくましく超え た見事な体だし異も痩せ形ではあるが筋肉 の発達した浅黒い肌でどちらも若さの 満ち溢れた力もりという感じである 異は相手をいくように見ていい体だなと つぶやき大きく飛んで庭へ降り た中庭の一所が芝生になっている2人は そこへ行ってがしと組み合っ たさえは縁側の柱へ 寄りかかり息を詰めながら見てい た勝負は長くはかからなかった肉体と肉体 の愛打つ心よい音が2度し両者の位置が ぐるりと変わった時宗之助は巧に足を払っ て異を大きく投げ倒し たしかし投げ倒したせな何を思ったか いきなり相手の上に馬乗りになり怪しいぞ 異とを食いしめたような声で言っ たわざと負けたな本気ではある まいバカなことを言うないや不審だ今の足 は軽すぎた貴様俺をめくにする気かよせ来 た人が見ているぞいえ本気か嘘 か宗之助は両手を異の喉へかけ た刀にかけて返答 しろまいった俺の負けだ よ宗之助は確かだなと叫んだがそれと同時 にはがしながら立っ たつい一瞬前までの必要な高ぶった表情は 吹きたったように消えまるで人が代わりで もしたな落ち着きと厳を取り戻してい た縁の柱によってこの有様を閉塞しながら 見ていたさえはその時崩れるようにそこへ 膝をついてしまっ たその夜の出来事を家へ帰ってから異は 色々な角度から考えてみ た宗之助は少年時代から負けず嫌いだった 頭脳的にも肉体的にも常に1人抜きでなく ては承知しなかっ たそして事実それだけの細分に恵まれてい たが異だけにはそういう意識を持たずいつ も互いに伝達し合うという風 で俺たちが家したらとばハに生きた政治を 行おうぞなどと言い合いしたであっただが 今度の彼は違うイはあらゆる方面から考え てそう思っ た酒の敷い方も尋常ではなかったし相撲の 時の勝負に対する口さも昔の彼にはなかっ
たもの だ彼はこの異をしのごうとしている突然 相撲を挑んだ同機はさえにあったかもしれ ない さえと自分とが2人きりでいるのを見て 若い地が何かせずにいられなくなったのか もしれ ないしかしあんなに勝ち負けに対する こだわり方は他に理由が あるそしてその真の理由は分からないが俺 をしのごうとしている点だけは確か だ繰り返し考えた結果異のつかみ得たもの はそれだでしかなかっ た翌日まだ早く9時前という時刻に宗之助 が訪ねてき た上がると先に母の部屋へ入り活発な声で しばらく話していたがやがてああ庭の梅が 随分大きくなりましたねと言いながら異の 今へやってき た頼みがあるん だ彼は座につくとすぐそう言い出し た明日からご生児向きの記録類を調べたい オなど金国作港各武行所の記録方へ資料を 揃えるようご老色の名で通達してもらい たいん だそれはお住みつきがなくてはできない だろうそんなことはない年寄り役には随時 に規模検察の職権があるはず だだがそれはこのあった場合に 限ることはある よそのすは笑いもせずにそう言っ た国がろ交代という大きなことが迫って いる理由はそれで十分だ 頼む測るだけは測って みよういやいけない是非とも必要なんだ それも明日からということを断って おく押し付けるというのではない自分の 意思は必ず行われるという確信のある態度 だっ たそして異が返事をするのを待とうともせ ず急に破しながら第2の頼みだと5をつい だ 昨夜の華麗はあの両手の娘だというが底本 はよほど親しくしているの か話題が突然変わったので異は返答に困っ たそんなこともないがだってあの家族の 部屋で2人差し向かいになっているくらい じゃない かあのうへは小さい時からよく父に連れ られて食事をしに行ったそれで普通よりは 気やくしているというのだろうか なあの女を嫁に欲しいん だあっさりと宗之助は言っ たいい娘だあのしっとりとした美しさはル が
ない肥料も良いがあの肥料は様の良さが 裏付けになっている俺はいきなり楽器を 思った引き手の腕次第でどんな微妙な音を も出す名記そんな感じだなんとしてでも嫁 に欲しいんだがそもから話してみてくれ ない かしかしそれは両方の身分が許さない だろう何そういう点は自分で処理する底本 はただ相手へ俺の意思を伝えてくれれば いいん だ信じかねる なあ異は首を振っ た何しろこっちは国がろになる体だし 向こうは両手の娘だからな少し違いすぎる よバカを言え江戸では芸者を妻にするもの だって珍しくはないんだもし本に来る 気持ちがあれば正式に人を立てるから頼む ぞこれで溶断は住んだと言って宗之助は さっさと立って帰っていっ たイはその後でこをたきもう盛りを過ぎた 庭の梅を見ながら登場の国の来るまで じっと考え込んでい た昨夜の宴の酒から始まっ 何か決定的なものが動き出しているそれは 単に異をしのごうとする程度のものでは ない昨夜に続いて各武行所の記録検察さえ に対する 求婚こうして八早に先手先手とのしかかっ てくる宗之助の態度には確かに何かを決定 的にしようとするが ある宗之助と自分とのかつて最も親しかっ た関係が今や新しい方向へ転換しようとし て いるこの転換がどんな意味を持つかまだ わからないしかし見はぐらない用人は 欠かせない ぞ異は腹を決めるという感じでそう思い やがて途上するために立っ た彼はは腹を決めたのであるその日すぐ 年寄り役4人を集めて相談し現国老である 大月ま衛門の下班を得て各武行所へ記録 検閲の胸を通告した下場する時脇たへよっ てその余しを伝えると宗之助はでは明日 金国型から始めようと言い帰ろうとする異 の背中 桃園のことも忘れないでくれと投げつける ように言った異は振り返って相手の目を見 静かに頷いて門を出 たその月20日は異の誕生日で毎年ごく 親しいものばかり招いてさやかに祝うのが 霊になって いるその日も数人の客を招いて中散したが それが終わってから母親の方の席へ呼ばれ てきていたさえとあっ た父が亡くなってから一度異が母を桃園へ
食事をしに案内し たそれ以来時々母は親しい夫人たちと食事 に行き桃園の家族とも口を聞くようになっ たさえと娘は良い子です ねそんなことを言いしたが去年ありからは 時折り自宅へ呼んだりするようにさえなっ たので あるここでいい でしょう異がさえを呼びに行く と母はちょっと傷かわしそうな目つきで そう言っ た話ならここでなさい ないや少しことです から異はそう言ってさえを自分の今へ連れ ていっ た着ているものも化粧も格別常と変わって はいないのだが明るくさえざえとした 顔つきや楽しそうな立位の様子が常とは 際立って美しく 見える異はちょっと眩しそうな表情で しばらくさえの姿を見守っい たどう遊ばしましたのそんなにしげしげと ごらんなすっ ていつもとは人違いがしているようだ から珍しいことをおっしゃいます ことさえは頭をかしげながらじっと異を見 たそう申せばあなた様も常とはご様子が 違うように見えます わそうかもしれない俺にはその理由がある んだ からそしてぶっつけに言ってしまうがさえ を嫁に欲しいというものがあって俺から さえに意向を聞いてくれと頼まれたん だまあ大変でございます こと笑い事ではない本当の話なんだ ですけれど そんなとさえは半神半疑に異の目を見続け たそんなことがございます かしらよその娘を欲しいからと言って親を も通さず直家に気持ちを聞くなどという こと が習慣というものはその人間の考え方と 事情によって随分変わり も だ打ち明けて言えば相手は和田宗之助だ よ和田様江戸からお帰りになった あの去年あたりから だイはさえの追求するような目から背き ながらふと10回するような調子で言っ た俺は時々さえの結婚する場合のことを 考え た俺の中には初めて父に連れられて食事を しに行った頃のさえの姿がそのまま成長し ているので結婚ということに結びつけて 考えることはどうにもしっくりしないなん
だかおかしいんだしかしその年齢がその 時期に来ていることは確かだいつかはそれ も相当 将来にさえが眉を落とし歯を染める時が 来るそう思うたびに考えたことはどうか 幸せな結婚であるように相手にも行末にも 恵まれた幸せな縁組であるようにという ことだっ た兵の調子が思いがけないほどしみじみと したものだったのでさえも我れ知らず目を 伏せ肩をすぼめるようにし たその意味から言う と兵は静かに続け た和田は才能も抜きん出ているし風格も あの通りだし身分も家柄も申し分のない男 だなんを言えばあまり条件がへと違い すぎる点だがこれも和田が自分で手順を つつけるという彼のことだからこれは もちろん信じても良い だろう俺から伝えることはこれだけだが さえはどう思うか ねまるでご自分のことのように熱心に おっしゃいますの ねさえは震えるような微傷を浮かべながら 目をあげ た他の方でしたら伺うのも嫌ですけれど ライザ郎様のお言葉ですから考えてみ ます突然幼を呼ばれてイはびっくりした ように振り向い たさえは頬の辺りを蒸気させかつて見た ことのない底に光を称えたような目で じっとこちらを見守っていた それは18の乙女の情熱を漂白するような 目つきだっ た兵はまきをしながらその視線を 避け脇田はだいぶ急いでいるようだから なるべく返事は早い方がいいなと言っ た数日して江戸から3人の青年が判し たまた ない 村承太郎といい宗之助が国就任の場合その 医薬に入るものらしく帰るとすぐ脇たに 詰めて出入りとも宗之助から離れず上中で の規模検閲にもこの3人が補助の役をする ようになっ た彼らの調査はしばしば謁見に渡るほど 思い切ったものだった が国大月衛門は温一方の人物だし国交代の 木も迫っているのであえて違法を鳴らす ものもなくむしろあけに取られて眺めて いるという感じだっ たこれは恐るべき無いだ宗之助は異の顔を 見るとよくそう言っ たいかに世が大平であり に足らぬ犯とはいえこの政治の無能無作は
何としたことだ大げさに言えばこの10 年間まるで眠っていたようなものだぞ一体 年寄り役としての底本からして何を見てい たのか ね政治のどこが眠っていたかその言葉だけ では返事のしよもない ががに収まって市民に不平がなければ違う 違うそんなことじゃ ない宗之助はつっぱすた亭 証拠を見せてある政治がどういうものかと いう証拠を なそしてその後で 必ず桃園の娘の返事を早く頼む ぞとくどく念を押すのだっ たある日下上してくる途中めっきりはめい てきた海の色に誘われてふと桃園へ 立ち寄っ たまだ日の高い時刻で客もなく海の見える 2階座席へ通って茶を求め たこの家は茶だけの客もよく来るので歌詞 もなかなか凝ったものを 作ることにウグイスという名物が美味で異 は酒の後でさえよく口にし たさえの母親が茶と歌を運んでて先月娘の 招かれた霊を述べて去るとまもなくさえが 縫いかけの着物を持って上がってき たちょっと肩へかけてみてくれと いうどうするん だおたが拝見したいんですの雪は大丈夫だ と思うのですけれどなんですかおたが ちょっとなんだ母はまたそんなものを頼ん だの か私からお願い申したのです わ異が立つとさえは後ろへ回って着物を肩 に かけ竹を当たってみてはいありがとう ございましたとそこへ座ったそのまま針を 持って静かに縫い続けるさえの姿 をはぼんやりと見守ってい た先日の話は考えてみた かさえは目をあげ たそれはこちらの心を覗きでもするような 目つきだっ たそれからそっと微傷しながら頷い た はいそれで返事はどうなん だ私の一では本当にどう申し上げよも ございません わだって本当に分からないのです ものそれでは返事になっていない よもしライ様 がとさえはまた彼の幼を呼ん だもしもライ様がとげとおっしゃるんでし たら俺の気持ちはこの間話したはず だあの時は進めてくださいました
わしかし俺の気持ちはさえの気持ちじゃ ないわたの知りたいのもさえ自身の気持ち だろう問題はお前の一生なんだ他人の意見 にすがるような弱いことでどうする かではお返事をいたします はさえはしばらくしてそう答え た私お受け申し ますその年の夏は10何年ぶりという暑さ で梅雨明けから200日過ぎまで1粒の雨 もなく照り続け たそして秋口にかかる頃になって天気が 崩れだし まるで帰りのように陰鬱なドテと雨の日 ばかりがあついでき たこれでは不作はまかれまいそういう不安 が広まり出した時いち早く今年は年半減だ そうなという噂が口から口へ伝わっ た念も運上も一律に半減だそうな反か取れ ない村は念ごめになるそう な確かな筋から出た話だと言ってその評判 は領内の村村から城下町まで浮き立たせた しかもそれについで来年度から家中の侍 一等の淵が表高通りに復帰するそうだと いう噂さえ立ち始め た当時はどこの班でも家臣の縁は表高と 実習とにかなりの差があっ たこれは食6が米を単位にしているため 米価の皇帝に支配されるからで平均して いる時でも実際の縁は2割ないし3割は 表高より少ないのが例になっていたこれに 対して格式は表高によってちゃんと危くが あるため家臣たちの生活はかなり窮屈な ものだっ たしたがって表高通りに復帰するという ことは噂だけにしても家中の人気を高める のに十分で半身半疑ながらこれまた大きな 反響を呼び起こさずにはいなかっ た異はさえの返事を聞いて以来なんとなく 足がて桃園へ床ぬ日が続い たさえの返事はすぐ宗之助に伝えたしその 時宗之助は霊のはがという感じで 笑いではすぐ正式に人を 立てようそういうのを確かめたので彼らが 結婚するまではなんとなくさえに会うこと がはかられる気持ちもあったので ある天候は8月の下旬からにわかに回復し 申し分のない日が続いて方策は間違いなし ということになっ たそれにも関わら ず年運上半減という噂は消えなかった そして9月に入った一日柏村の家へ年寄り 役4人が揃って訪ねてき た があってというので奥の間の襖少を 開け放して退し
た先頃から世間を騒がせている評判をお 聞きであろうと1番年傘の石岡田が口を 切っ た年運上半減家中のふ表高通り復帰という あの評判の出所が分かったのです ことに方策間違いなしと決まっている年が やはり今年度から半減という噂は噂だけで なくその実証がありしかもそこに国老交代 と微妙な関係があるという事実が分かった の ですはっきり言ってしまえばと八京心が 言っ たこれらの評判は和殿の周囲から出ている のです中にはことに合へ向けては文書で 通告されているものもありそれは現に私が 見ていますそして4人のものが交互に語る ところは理由は判然としないがとにかく 和田の医薬から相当思い切った警語政策の 前ぶれが出ているということそれが非常な 勢いで領内にに広まっているという事実 だっ た和田殿の真意は分からないがかな実行 不能なことを申しふらすことはご政治向き の上に面白くない影響を及ぼすのは必死で 今のうちなんとか方法を講じなければと 思いご相談に参ったのです がすぐには信じかねる話だがと異は しばらく考えた後言っ たもし風評が脇田から出たとすると彼に どんな試案があるにしても捨ててはおけ ないでしょう なそこでご相談なのですが表向きにすると ことが大きくなりますから柏村殿から話を していただいてできる限り早く風評の根を 立つよう手配したいと思うのです 引き受け ましょうイは心よく頷い た彼の試案によっては承知しないかもしれ ないがとにかくすぐ話には行き ます4人はなお噂が脇田から出ていると いう事実の詳細を述べ必要ならすぐ労し表 を開こうと言って帰っ た異はまるで胸へなりでも詰められたよう なおしい気持ちだっ たなぜそんな気持ちになったのか判然とし ないが正直に言って宗之助と会いたくない のは確かだっ た今の場合彼にその話をするものは自分 だけでそれが分かっているから引き受けた のだが規範して以来の態度を見るとあって 話しても彼が素直に受け付ける可能性はは 低い全体和田は何を考えてあんなことをし たの か4人が去った後開け放した座敷から秋色 の目立ち始めた庭の子たちを
眺めかなり長いこと異は1人考えふけって い たそこへ母が来 てさえさんが来ていますよと伝え たなんだあなたに話があるのですとこちら へよします かそうです ねイは母を見 た何の話か知りませんがここがいい でしょう入ってきたさえは部屋の隅へ座り 身をすぼめるようにしながら釈し た全体にやれているようだしをすぼめる ような見なしもはを含んだ微傷の仕方にも かつて見たことのない寂しそうな影が 滲み出てい たイはあまりの変わり方にしばらくは言葉 も出ず心打たれたもののようにさえの姿を 見守ってい た随分久しくお相もしませんけれどどうか 遊ばしたのでございます か挨拶が済むとさえはそう言っ たご病気というお噂も聞かずおいでも ございませんでしたので何かご機嫌を存じ たのではないかと母が心配しておりました それでぶつけですけれどちょっとご様子を 伺いに上がりました の何も理由はないさつい足が遠くなったと いうだけだよどうぞいらしてくださいまし 母もうちの者たちもお待ち申しております から話というのはそのこと か はあ いいえさえはそっと頭を振り両の多元を膝 の上に重ねながら俯いたそしてイが黙って いるままにじっと何か思いふけっていたが やがてと顔をあげこちらを挑むような目で 求めながら卒然と言っ た半年前あなた様は私に和田様へ行く気が あるかとお尋ねなさいましたあれはおた 群れだったのでございます かた 群れイは思いがけない言葉に目を見張っ たどうしてそんなことを言うんだ和田との 間に何かあったの か私お請け申しますとお返事をいたしまし た俺はその通り和田へ伝え た和田様はなんとおせでした のすぐに正式に人を立てて縁組をすると 言ってい た何のお話もございませんわそれらしいお 人も見えずそういう訪れもございません でし た異の脳裏にその切なふと宗之助の たましい顔が思い浮かん だ桃園の庭で自分をねじ伏せながら
勝ち負けを必要に追求した顔それから忽然 と変わった不敵な笑い顔がその一種特別な 笑い顔が今何かを異の心に叩きつけるよう だっ たそれは本当だ なそれで私お伺い申しまし たうちへ帰ってお いでイは抱きしめるような目でさえを見た 後で 行く和田様へおいでになりますの ね他にも用があるん だ今度は とさえは燃えるような目で異を見 た今度はお断り申してもよろしうござい ますわ ねいやそれは待ってくれ俺があって いいえさえはきっと頭を振っ た私あれから随分色々なことを考えまし たそして半年の間待っていましたのはただ 和田様からの談だけででございませんでし たライザ郎 様イは体をかわすとでも言うようにつたっ たそれに続くべきさえの言葉の重大さが光 のように彼の感情へ反射したからである すがりつくようなさえの目から背きながら 彼はもう一度うちへお 帰りと言った後で行くその時後を聞こう俺 からも話すことがあるいい かそして大股に今の方へ去っ た海の方から生ぬるい風が吹いていた 夕立ちでも来そうな空でネズミ色の男運が 低く鍛え鍛えと流れていた大手外にある 脇田の家を尋ねると途上しておりますとと いうことでそのまま城へ上がっ た宗之助は感情武行役所で渦高い書類を 周りに筆を取って何か書き物をしてい たそばには福神の霊の3人だけで他には人 がいなかっ たもうすぐ住むからしばらく待って くれ異を見ると彼はそう言って書き物を 続けたがやがてで終わったものから順 にこれは作方へこれは船方へと3人に渡し 彼らが出ていくと待たせて済まなかったと 言いながら異のそばへ来て座っ たかけ違いしばらく会わなかった何か急な よでもあるの か口を飾らずに言うからそももも言葉のあ なしに答えてもらい たい異は片手を膝に置いていっ た先頃から世間に妙な評判が立っている念 運上一律半減家臣一等の縁を表高に復帰 するというあの風評が底本の手から出て いるというのは事実かほう来たな 宗之助はにやっと笑っ たそれは柏村異の質問かそれとも筆頭
年寄りとしての問かどっち だ今のところは古い友人として聞くことに しようではそのつもりで答えるがああいう 評判を巻いたのはいかにも俺だそれについ て何か意見があるのかね 俺の意見は後だ風評が底本から出たとする とそれにはそれだけの根拠があるのだ な ある宗之助は頷いた俺が国老の座に座れば あの通り実行 するそれで反の財政が成り立つと思う か相当窮屈なことは確かだな しかもなを実行する必要があるの かそのこと自体は必要じゃないむしろ1つ の手段だと言っていいだろう脇田政治の前 か痛いところだ宗之助は平然と笑っ た確かにそれもある生きた政治を行うため にはまず家中民の人望と信頼をつまな なら家中の侍にとってはふ民にとっては 蘇生この2つは直接生活に及ぶもので政治 に対する真不信も多くここにかかっている 俺はこの2つで俺の政治に対する信頼を 獲得するん だわかったそれでは俺の意見を言おうと異 はズバズバと言ったその得たによって どんな政治を行うか知らないしかしまず 人気を取るというやり方には嘘がある底本 の政治が正しいものならあえて事前に人気 を取る必要はないはずだ俺は筆頭年寄りと して絶対に反対 するどこまで反対しきれるか見たい な宗之助は上期限に笑っ た田治のの後ろには家中一等と良民がつい ている ぞそれがどれだけの力か俺も見せて もらおう次にもう1つ話が あるイは区切りをつつけるように咳をし た底本は半年前に桃園の娘を嫁に欲しいと 言った俺は頼まれてその中継ぎをした女は 承知すると答えたので俺は底本にその返事 を持っていったはずだ覚えているか ああそんなこともあった な宗之助はわざとらしく眉を潜めたそうだ 確かにそんなことがあったっ けその時底本はすぐ正式に人を立てて 申し込みをすると約束したところが人も 立てず娘の方へ訪れもしないというわた これをどう解釈したらいいん だ実は嫁は決まったん だ彼は具合の悪そうな顔もせずに言っ た確か知らせたはずだがな相手は安藤津島 の神の江戸屋敷 で俺の問いに答えてくれ桃園の娘はどう するつもりなん だどうするって妻を2人持つわけにはいか
ない よそれが返事か刺すような異の視線を 宗之助はさすがに受けかねたらしい眩し そうに脇へそらしながらそうだと言っ たよしちょっと 立てイはそう言いながら自分から立った 宗之助はちらとイを見たそして静かに立っ たイはその目を下と睨んでいたが大きく 右手を上げ宗之助の他方をはしと打っ た力のこもった痛烈な平手打ちである 宗之助の上はぐらっと右へ傾い た これが古い友達の別れの挨拶 だイは押さえつけたような声で言っ た貴公は貴公の好むように生きろ俺は俺の 信ずる道を 行く一言言っておくが正しさというものを あまり無力に見すぎるな よそしてそのまま大股に去ろうとすると 後ろから が カ村と呼ん だ異は廊下に立ち止まって振り返った 宗之助はじっとこちらを見た何やら色の 動いている目つきだっ た2人の幸せを祈る ぞ低い声でそう言うと宗之助は元の席の方 に帰っ たイもそのままキビスを返し た城を下って大手へ出ると生前とした雨が 来 たイはその雨の中をまっすぐに海岸の方へ 歩いていっ た興奮している方を雨の打つ心よさに彼は 何度も空を青いでは大きく呼吸し た桃園へ行くと待ちかねていたさえが迎え て彼の濡れねずみになった姿を見て驚きの 声をあげた何かことがあったと思った らしいまあどうなさいまし たいやなんでもない濡れただけ だイは手で精しながら脇へ回っ た何か着替えを貸してもらおうはいでも そのまではお気持ちが悪いございましょう お召し物お出しもしますからちょっとお 風呂へお入り遊ば せそうしようか な異は縁先でくるくると裸になった風呂を 浴びて着替えをするとさえは海の見える 離れへと彼を案内し た雨はいつの間にか上がって午後の日差し が明るく座敷いっぱいに差し込んでき たイは窓のそばへ座をしめ静かにさえを近 に招い た脇田の方は霧をつけてき た改めて俺から聞くが
さえ柏村へ嫁に来ない か はいさえは思いがけないほど素直に 頷きをえた美しい潮のある目で異を見上げ た 私良い妻になりたいと存じ ます半年の間に色々考えたと言った俺も そうだっ た正直に言おうさえが和田の申し出を 受けると答えてから俺は初めてさえという ものを見つけたのだ それまでは夢にもそんなことは思わなかっ たが他人の妻になると決まってからどうに もならぬほど大切なものに思われ出したの だ俺は随分苦しい思いをした よ私が同じように苦しんだと申し上げまし たらぶしつけすぎるでございましょう かさえは大胆に異を見た ああと異は微傷しながら頷い たそれ以上は言わない方が いい和田が現れたおかげで俺がさえを 見つけたとすればいえさえはもっと以前 からそう言いかけた自分の言葉に自分で びっくりしたの だろうさえはポット方を染めながら立って 縁先へ出 たそしてにわかにウキウキと明るい調子で 叫ぶように言っ たまあご覧遊ばせ美しい大きな虹 が異も立っていった羽の朝に晴れ上がった 空に大きく鮮やかにすずしく虹がかかって い た美しいな イも目の覚めるような気持ちで声をあげ たあの雨があってこの虹の美しさが見 られるん だ和田宗之助は俺たちにとっての夕立ち だった なそういった切なだっ た彼の耳に2人の幸せを祈るぞという助の 別れのの言葉が蘇ってきた ああイは思わず中を見たわきためそれを 承知の上 か自分が一雨ふらさなければ2人の上に虹 の立たぬこと をあいつは俺の気象を知っていたそうだっ た か平手打ちをぐっこらえた時のたましい助 の表情を思い返しながら異はふと自分の 右手を見 たさえはじっと虹を見上げてい た
「一生に一度は読むべき名作」朗読チャンネルへようこそ🌙
『彩虹』は山本周五郎の傑作であり、心温まる真実の愛と、人間の複雑な感情を巧みに描いた物語です。
主人公・樫村伊兵衛は、料亭の娘さえに淡い想いを寄せています。
しかし、その想いは友人への思いやりから、さえの幸せを願う純粋なものでした。
そんなある日、伊兵衛は友人からさえを嫁にもらいたいとの申し出を受けます。彼は二人の仲を取り持つことによって、自身の心の中に秘められた恋心に気付きます。
この物語は、伊兵衛とさえの間に流れる爽やかで暖かい愛情を中心に展開します。抑えた言動からこぼれる彼らの気持ちの深さは、読者の心を強く打ちます。そして、雨上がりに見る彩虹のように、彼らの愛は美しく、一瞬の輝きを放ちます。
「彩虹」は、運命のいたずらと真実の愛の間で揺れ動く、深く心に残る物語です。この物語は、愛の多様な形を示し、読む者に多くの感慨を与えます。雨があってこそ見られる彩虹のように、この物語は人生の苦難と喜びを描き出し、私たちに人生の美しさを教えてくれます。
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夜の帳(とばり)が下り、星が輝き始めたら、眠りの森が開かれます。
眠りの森で、女性の優しい朗読が夜の疲れを優しく包み込みます。
眠れないあなたの心を、森の中の穏やかな物語で安らぎへと導きます。
おやすみ前の静かなひとときを過ごしてください。
今日も一日お疲れ様でした。
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